いしかわ次世代産業創造支援センター  ―炭素繊維と機能性食品の新製品開発を支援―

 いしかわ次世代産業創造支援センターは、「石川県産業革新戦略2010」の5つの基本戦略のうち、「次世代産業の創造」を具現化する産学官の共同研究拠点として、工業試験場に設置され、4月より供用を開始します。このセンターは、本県の強みであるモノづくり産業を基盤として、異分野・異業種の技術力の融合による炭素繊維複合材料の開発や、発酵食品技術等の応用による機能性食品の開発を中心に、次世代産業を創出・育成する役割を担っています。

 当センターの施設と装置は「地域産学官共同研究拠点整備事業(科学技術振興機構・JST)」により整備されました。食品加工実験棟とそれに隣接した新たな施設に炭素繊維関連分野の製品試作及び評価機器と、食品の機能性等評価機器を設置しています。

●炭素繊維関連

 炭素繊維分野では、「繊維産業」と「機械産業」、大学等が連携し、世界をリードする炭素繊維複合材料を用いた部材・製品の一大生産拠点を目指します。設置された機器は試作と評価装置に大別することができますが、試作装置では、炭素繊維織物素材の開発からフィルム作製による樹脂含浸、プレス成形による部材開発まで、一貫した試作設備が揃っています。評価装置では、炭素繊維複合材料や樹脂の機械的特性、音響特性、耐環境性、熱特性等を測定する装置を充実しました。

 既存設備も活用し、[1]加工に適した炭素繊維織物組物技術の確立、[2]樹脂加工による産業資材の開発、[3]プレス等成形技術の確立、[4]製品の強度試験や組織検査等の評価手法の確立に取り組みます。

●機能性食品関連

 機能性食品関連分野では、「食品産業」と大学等が連携し、発酵をキーワードに、高付加価値な新規機能性食品の製品化を目指します。消費者ニーズの多様化とともに需要の伸びが期待される機能性食品やサプリメントの開発を行い、試作した食品を包装してレトルト殺菌する装置や、安全安心のための保存性や香りを評価する装置を導入しました。

 食品加工実験棟の既設設備も活用し、[1]有用微生物による最適発酵条件の検討、[2]レトルト包装・殺菌処理条件の検討、[3]香り等の品質評価方法の検討に取り組みます。

 

 このセンターの運用を通して、産学官交流を積極的に推進し、連携体制を構築したいと考えております。多くの企業のご利用を期待しています。

 

担当:繊維生活部 吉村 治(よしむら おさむ)
専門:分析化学、高分子化学

担当:化学食品部 松田 章(まつだ あきら)
専門:醸造