九谷焼上絵製品の完全無鉛化へ  ―無鉛不透明盛絵具の開発―

開発した無鉛白・黒盛絵具と
無鉛白盛絵具を使用した九谷焼製品

 九谷焼に限らず陶磁器の加飾に使われている上絵具には、その母材となるガラスの主要成分として酸化鉛が含まれています。酸化鉛は透明性、発色性、運筆性、コスト、加熱温度等の面から、最適な材料として古くから国内外で使用されてきました。しかし、鉛は代表的な重金属であり、人体に悪影響を及ぼす恐れがあります。このことから国際標準化機構(ISO)は、1999年に陶磁器の鉛溶出基準を改正しました。それに伴い、我が国でも食品衛生法の改正に向けた作業が行われています。

  工業試験場では、和絵具の完全無鉛化に向けて未解決であった不透明な白盛絵具等の開発を進めてきました。
  基本五彩と対照的な不透明盛絵具は、草花や動物等の加飾に活かされています。開発した不透明盛絵具は九谷上絵協同組合で販売され、9月に開催された第13回九谷焼産地大見本市に同絵具を使用した製品が展示されました。

  他産地に先駆けて完全無鉛化したことは、九谷焼のブランド力を高めることになり、景気低迷が続く九谷焼業界の起爆剤になることを期待しています。


担当:九谷焼技術センター 木村 裕之(きむらひろゆき)

専門:陶磁器

一言:九谷焼の業界に無鉛和絵具が着実に普及することを期待します。