4.製品開発への応用
 文様集の成果普及とともに,文様集を利用した具体的なデザイン開発の指導相談を継続的に行った。
 4.1 伝統工芸品への応用
 九谷焼,輪島塗,加賀友禅,金箔等の企業と,デザイン開発を実際に試みた。
 図7は,九谷焼産地の寺井町の花「ツツジ」と,石川県の魚「カレイ」「アマエビ」のCG文様を利用した九谷焼製品である。手描きの上絵付けによるもので,CGによるオリジナル図案を器にうまく生かしている。
 また図8は,輪島市の木「アテ」のCG文様を,沈金加飾した輪島塗製品の例である。

図7 九谷焼製品への応用例

図8 輪島塗製品への応用例

図9 金箔製品への応用例

 さらに図9は,白峰村の「ダイモンジソウ」や高松町の「ブドウ」,富来町の「ハギ」を文様としてあしらった金箔加飾の衝立である。

 4.2 伝統工芸品以外への応用
 繊維業や印刷業の企業からも,文様集を製品開発へ利用したいとの相談が多くあった。
図10は包装紙やパッケージ,ショッピングバッグなどの紙製品への応用例である。「アテ」「ウメ」「キリ」「ツバキ」の文様を利用しており,紙と同系のインク色で印刷したものである。
 図11は繊維製品への利用例で,「クロユリ」や「イヌワシ」の文様を染色した眼鏡拭きである。
  この他にも,クロス貼パーティションの加飾文様や貯金通帳のグラフィックデザイン,インターネットのホームページデザイン,案内板の加飾文様,橋の欄干のレリーフ文様など様々な相談があった。

図10 紙製品への応用例

図11 繊維製品への応用例

5.結  言
 これまでCGデザインの文様集の作成,普及,応用について報告してきたが,まとめると今回次の成果を得ることができた。
(1) CGを利用した文様作成技術普及のための具体的な事例として,文様集を完成させた。
(2) 文様デザインのソース提供に関して,インターネットの利用などの新しい試みを行った。
(3) 文様集の製品開発への応用によって,業界での具体的な新製品開発の支援を行った。

参考文献
1) 山下秀樹:日本文様集第1〜3集,叶ス文堂新光 社,1989
2) 岡登貞治:文様の事典,東京堂出版,1989
3) 丹羽基二:日本の伝統文様[1]〜[2],潟O ラフィック社,1990
4) 石川県工業試験場編:伝統文様集幾何的文様編,  石川県デザイン振興会,1980
5) いとう喜一:西陣文様事典,河出書房新社,1994
6) 片野孝志:王朝文様事典,河出書房新社,1988
7) いとう喜一:アール・ヌーヴォー文様事典,河出  書房新社,1994
8) 頭川みどり:イギリス文様事典,河出書房新社,   1991


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