簡易テキスト版

簡易テキストページは図や表を省略しています。
全文をご覧になりたい方は、PDF版をダウンロードしてください。

全文(PDFファイル:23KB、1ページ)


触媒CVD法におけるW線のブラスト処理による形成速度の向上

■電子情報部 部家彰 高野昌宏 筒口善央 米澤保人 南川俊治
■(株)石川製作所 仁木敏一 室井進 南茂平
■北陸先端技術大学院大学 和泉亮 増田淳 梅本宏信 松村英樹

研究の背景
触媒CVD法は,低温で高品質な薄膜を形成することができる。膜の形成速度を増加させる方法として,触媒体温度や触媒体線長を増加させる方法があるが,試料に対する輻射熱が増加するため,試料を低温に保つことは困難である。
本研究では,試料を低温に保ちつつ,形成速度を増加させるため,触媒体表面をブラスト処理し,原料ガスの分解サイトを増加させることを試みた。

研究内容
触媒体には直径0.6mm,全長120mmのタングステン(W)を用い,粒度600番の炭化シリコン(SiC)粒子で10分間ブラスト処理した。W線表面を原子間力顕微鏡で観察した結果,W線の表面積は1.3倍に増加していた。次に,粒度600番でブラスト処理したW線を用いて,触媒CVD法により窒化シリコン膜を形成した。
形成速度のシラン(SiH4)流量依存性を図1に示す。SiH4流量2sccmまではブラスト処理した場合でも形成速度は変化しないが,それ以上ではブラスト処理した場合,形成速度は,1.2倍に増加した。SiH4流量が少ない場合,触媒体上で十分分解できるが,SiH4流量が多くなると,触媒体上での反応サイトが枯渇し,形成速度は飽和する。また,ブラスト処理した場合,触媒体上での分解量が増加したため,形成速度の飽和値が増加したと考えられる。

(図1 形成速度のSiH4流量依存性)

研究成果
触媒体のブラスト処理により,触媒体表面積を1.3倍,形成速度を1.2倍増加させることができ,本手法は触媒CVD法における形成速度向上法として有効である。

論文投稿
Japanese Journal of Applied Physics Vol.44, No.4A, 2005 p.1943-1944.