![]() |
![]()
研究の背景 シリンダ内面や軸受け軌道面のホーニングや超仕上げに用いられる超砥粒スティック砥石は,バルク素材からダイヤモンドブレード等により切り出されて製造されている。しかしながら,ダイヤモンド砥石やCBN砥石は硬質であるため加工能率が低く,また,脆弱であるため砥石が欠けることが問題視されている。更に,一般的に使用される切断ブレードは,薄いものでも0.5mm以上の厚みがあるため,その厚みに起因する歩留りの低さが解決すべき課題とされている。本研究では,ダイヤモンドブレード等に代わる新しい切断手法として,非接触で材料を溶融・除去して切断するレーザ加工に注目し,スラブ型パルスYAGレーザ加工機を用いてCBN砥石の切断特性を調べた。 研究内容 硬脆材料をレーザ切断する際に,切断品質や強度に対して如何なる加工パラメータが重要であるかを把握するため,超砥粒砥石に使用されているビトリファイドボンドと同じ酸化物系セラミックスであるアルミナのレーザ切断実験を行った。レーザ照射によって変質した部位全体を熱変質領域,実際の切断幅となる部分を除去領域として測定し,熱変質領域に対する除去領域の割合を除去率と定義して,切断品質に影響を及ぼす加工パラメータを調べた。図1に示す結果は,切断速度とパルス周波数が除去率に与える影響をまとめたものである。また,この結果を踏まえてCBN砥石の切断実験を行い,図2に示すように熱変質領域および除去率を調べ,超砥粒スティック砥石製造におけるレーザ切断の適用性について検討した。 (図1 レーザ切断パラメータの影響) (図2 CBN砥石のレーザ切断特性) (a) ピーク出力の違い (b) 照射回数の違い 研究成果 スラブ型パルスYAGレーザ加工機を用いてCBN砥石の切断特性を調べた結果を以下にまとめて示す。 (1)パルス周波数とテーブル送り速度で計算できる切断距離1mm当たりのレーザ照射回数は,レーザ加工時の除去率を決定する加工パラメータの1つである。 (2)CBN砥石のレーザ切断では,1パルスで照射するエネルギを抑え,しかもそれを短時間で加工材料に与え,エネルギが少ない分を照射回数で補いながら加工することにより,熱変質領域が小さくCBN砥粒が酸化して残存する熱変質層も少ない精密切断が可能となる。 論文投稿 砥粒加工学会誌. Vol.47, No.1, 2003, Jan. p.39-43. |
|
|
|