全文 (PDFファイル:33KB、1ページ)


 ハイブリッド型パルス・プラズマ・コーティング(HPPC)システムにより形成したDLC膜
  粟津薫*, 作道訓之**, 安井治之*, 佐治栄治**, 岡崎健一**, 長谷川祐史**, 池永訓昭**, 神田一隆**, 南保幸雄**, 斎藤和雄**
    *製品科学部  **地域コンソーシアムメンバー

研究の背景
 現状のドライコーティング技術では,被加工物を自公転させる構造であり,被加工物の外面へのコーティングは可能であるが,内面や深い溝部などへの均一で,高密着性の膜が得られていない。そのため,新しい発想に基づいたコーティングシステムの開発が望まれていた。

  図 DLC膜のラマンスペクトル
そこで,北陸三県の産学官で構成した大型研究プロジェクトで,新エネルギー・産業技術総合開発機構
(NEDO)の地域コンソーシアム研究開発事業に「ハイブリッド型パルス・プラズマ・コーティング(HPPC)システムの研究開発」を提案し,採択され,平成10〜12年度の3カ年で実施した。本報告は,HPPCシステムの研究開発に続く,第2報である。

研究の内容
原料ガスのパルス導入,パルスプラズマの生成,負の高電圧パルス印加を可能にしたハイブリッド型パルス・プラズマ・コーティング(HPPC)システムを開発した(第1報)。本報では,このHPPCシステムで生成したパルスプラズマのプラズマ密度をマイクロ波干渉計により測定した。また,このHPPCシステムの実証化のために,ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜の創製研究を行った。原料ガスとして,メタン(CH4),メタン/トルエン=3,メタン/トルエン=1の3種の原料ガスを使った。創製したDLC膜のラマンスペクトルを測定して,膜質評価を行った。原料ガス中に占めるトルエンの割合が大きくなると,ラマンスペクトルは,これまでイオンプレーティング等で成膜されたスペクトルの形に近くなり,メタンの割合が多くなると,不規則グラファイト(1360cm-1のピーク)割合が大きくなることがわかる。

研究成果
 原料ガスのパルス導入,パルスプラズマ生成,負のパルス電圧印加を可能にするHPPCシステムの有効性を確認した。また,このシステムを使って,原料ガスを3種に変えてDLC膜を形成し,ラマンスペクトルにより評価した。

論文投稿
 Surface and Coatings Technology, 2001 Vol.136 p.172-175.



* トップページ
* 研究報告もくじ

概要のページに戻る