平成10年度研究報告 VOL.48
石炭灰を用いた耐火物素地の開発
化学食品部 北川賀津一 山名一男
金沢工業大学 大橋憲太郎


 産業廃棄物の石炭灰について,窯業製品である断熱レンガ及びコーディエライト質耐火物への応用を図った。おが屑を添加することで,焼成体のかさ比重を0.99,気孔率を30%まで下げることができた。石炭灰にタルクと水酸化アルミニウムとを配合することによって,1300〜1350℃の焼成でコーディエライト素地(低膨張性素地)を作製できた。
キーワード:産業廃棄物,石炭灰,断熱レンガ,コーディエライト,低熱膨張係数

Deveropment of Refractory Body Consisting of Coal Fly Ash

Kaduichi KITAGAWA , Kazuo YAMANA and Kentarou OHASHI

 Ceramic materials for heat insulating bricks and cordierite bricks were prepared from coal fly ash as industrial waste. By adding saw dust to coal fly ash, the bulk density showed the value of 0.99, and the porosity got 30%.Cordierite body with low thermal expansion coefficient could be produced by firing the mixture of coal fly ash,talc and Aluminium hydroxide in the range 1300 to 1350℃.
Key Words:industrial waste, coal fly ash, heat insulating brick, cordierite body, low thermal expansion coefficient

1.緒言
 石炭灰は「大気汚染防止法」第2条に規定される「ばい煙発生施設」から発生する「ばいじん」(フライアッシュ)及び「燃えがら」(クリンカーアッシュ)として位置づけられている。また,平成3年10月に施行された「再生資源の利用の促進に関する法律」(いわゆる資源リサイクル法)では,電気事業用火力発電所から出る石炭灰は電気業の指定副産物として指定され,有効利用を促進するよう義務づけられている1)
 石川県では,火力発電所が平成7年度に七尾市に1号機が,平成10年度に2号機が営業運転を開始し,石炭灰を生じることとなった。その結果,500トン/日という大量の石炭灰が発生している。これらの廃棄物は他県のセメント原料として使用されているが,地域においてはその利用は皆無である。そこで,地域産業の発展のために、耐火断熱れんがの産地という七尾市の地域の特徴を活かした窯業原料への利用方法を検討することが必要となっている。
 コーディエライトは低熱膨張性であるために,耐スポーリング性の材質として注目されている。コーディエライトは六方晶系の結晶構造を持ち,熱によってa軸に膨張してもc軸方向に収縮するために低い熱膨張率を示す。そのために急熱急冷が繰り返される場所での使用に適している2)
 コーディエライトの作製には固相反応による方法と,ガラスから析出する方法とがある。固相反応ではコーディエライトの焼結する温度と分解し溶融する温度との差が小さいため,緻密な焼結体を得ることが困難である2)
 七尾大田火力発電所から発生する石炭灰を用いて,炭酸カリウム添加による低温焼結について検討し,耐火断熱レンガ試験片を試作しその評価を進めてきた3)。本研究では耐火断熱レンガとして,JIS R2611で分類されているB類2種を目標とした。断熱性能を持たせるため石炭灰におが屑を混合して焼成を行った。更に石炭灰が主にガラス質からなることに注目して,水酸化アルミニウムとタルクとの固相反応からコーディエライト素地の作製を試みた。

2.実験
2.1 石炭灰原料
 石炭灰の主成分はシリカとアルミナであり,この無機質で全体の70〜80%を占めている。その他は少量の酸化第二鉄,酸化カルシウム,微量の酸化マグネシウム等である。構成相としては石英,ムライト及びガラスからなっていた。

2.2 断熱レンガ試験片の作製
 断熱レンガ試験片は以下の方法で作製した。石炭灰に炭酸カリウムを2wt%,可塑性を補うためにグルカンを1.0wt%,更におが屑を加えビニール袋中で乾式混合後,水を加え含水率29%に調製し練土を作製した。試験片はプレス成形した後,炉底昇降式電気炉にて1000℃で焼成した。

2.3 コーディエライト素地の作製法
 石炭灰100gに対して水酸化アルミニウムを63g,タルクを70g秤量した。さらにグルカンを石炭灰に対して2wt%加えボールミルで乾式混合した。その後,水を加え十分に混練し,約2日間40℃で熟成した。この試料を42メッシュの篩で篩った後,プレス成形を行った。試験片を350℃と550℃で脱脂した後,1000〜1450℃の温度範囲で電気炉を用いて焼成した。

2.4 物性評価
 焼成した試験片のかさ比重、収縮率、吸水率を測定した。物性測定についてはJIS R1601に準拠した曲げ強度,粉末X線回折分析,示差熱重量分析,熱膨張測定,走査型電子顕微鏡観察を行った。


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