平成10年度研究報告 VOL.48
ウェルフェアテクノハウス石川の建設 |
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| 図13 対麻痺に対応した昇降式浴槽・洗い台 |
図14 重度四肢麻痺に対応した天井走行リフト |
図15 住環境と福祉用具の適合評価ができる研究スペース |
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| 図16 天井裏観察フロアからの動作評価
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図17 樹脂舗装と階段状の花壇を整備した庭 |
4.結果と考察
4.1 実証評価
完成したテクノハウスにおいて,被験者による検証を行ったところ,一般の高齢者から重度障害者までに対応する生活環境条件が,ほぼ満たされていることが確認できた。すなわち,片麻痺に対する動作環境を設定することで,身体機能が衰えた高齢者の生活環境が整い,さらに,対麻痺や完全四肢麻痺に対する環境を付加することで対象範囲が大きく広がり,ほとんどの障害に対応できる生活環境が実現したことになる。
また,各種可変設備の導入によって,個々の身体特性に応じた動作環境をより詳細にシミュレーションできる研究施設となった。
4.2 今後の課題
実証評価によって良好な結果が得られたと同時に,一部の住宅設備機器と福祉用具に改善余地が発見されたので,今後の研究開発課題として以下に列挙する。
(1)起居,移乗,移動動作関連
・手すり:滑りにくい抗菌コート剤,手すり機能のある家具形状
・床材:歩行時や車いす移乗時に滑りにくい材質
(2)排泄動作関連
・便器:トイレ介助車の進入を妨げず,姿勢保持具が装着しやすい形状
・便器周辺機器:手洗い器,リモコン,ペーパーホルダー,汚物入れ,緊急呼出装置などの適正配置およびユニット化
(3)入浴動作関連
・浴槽:立ち座りや座位移乗がしやすいステージと蹴込みの形状
・洗面カウンター:手すり歩行を妨げない形状
・水栓具:手指の麻痺に対応した形状と配置
(4)その他
・洗面台:車いすで深く進入できる寸法体系,洗面ボール形状,配管処理
・建具や家具の取手とクレセント(鍵):手指の麻痺に対応した形状
5.結言
ウェルフェアテクノハウス石川の建設において,高齢者や障害者の動作能力を体系的に把握することで,今後の住宅設計指針が明らかとなり,ほとんどの障害に対応する理想的な住宅環境および住宅設備機器を提示することができた。さらに,高齢者や障害者の身体特性に応じた住宅設備機器や福祉用具の実証化機能を充実したことで,本県における当該分野の総合実験施設としての位置づけができた。
また,本施設を石川県リハビリテーションセンターに隣接したことで,医療技術と産業技術の融合による信頼性の高い住宅設備機器や福祉用具の研究開発が促進されることを確信する。
謝辞
本研究開発の遂行にあたり,適切なご指導,ご助言をいただきました,ウェルフェアテクノハウス石川準備委員会の委員各位に謝意を表します。さらに,検証にご協力いただきました被験者の皆様に心より感謝を申し上げます。
参考文献
1)厚生省老人保健福祉局編:在宅ケア実践事例集,中央法規出版(1996)
2)建設省住宅局編:長寿社会対応住宅設計指針マニュアル, 高齢者住宅財団(1996)
3)通商産業省機械情報産業局編:福祉用具産業政策の基本的方向,通商産業調査会(1997)
4)石川県リハビリテーションセンター,バリアフリー推進工房編:テクニカルエイド事例集(1998)
5)建築思潮研究所編:建築設計資料55,高齢者・障害者の住宅,建築資料研究社(1996)
7)市川洌著:福祉用具アセスメント・マニュアル,財団法人テクノエイド協会(1996)
8)日本薬剤師会編:在宅介護と関連用品,薬事日報社 (1997)