平成7年度研究報告 VOL.45(1/3)
石川県工業試験場におけるインターネットの整備
林克明 上田芳弘
- 石川県工業試験場では,1995年に金沢大学を経由して,SINETへのインターネット接続を完了した。現在は, WWW,メール,ドメインネーム,ニュースの各サーバを運営し,さらに,ホームページを開設して業務や研究内容を一般に公開している。インターネットの各種機能をパソコンで利用する際に必要な設定や用語は,初心者には分かりづらい。本稿では,インターネットの構築で得た経験をもとにして,具体的なソフトウェアの設定方法を紹介する。また,インターネットを利用して情報提供した例として,工業試験場のホームページの制作過程を紹介する。
キーワード:SINET,インターネット,ホームページ
石川県工業試験場におけるLANの再整備
−スイッチングHUBを用いたトラフィックの緩和−
林克明 上田芳弘
- 石川県工業試験場では,平成2年度にLANを構築し,運営を開始した。業務におけるLANへの依存度は年々増加し,さらに,インターネットへの接続により,トラフィックの一層の増加が予想された。そこで,LANを従来のバス型イーサネットから,スイッチングHUBを利用したスター型ファストイーサネットへ変更し,LANを再整備した。これにより,トラフィックが緩和された。さらに場内に122カ所のモジュラーローゼットを設置することにより,すべての研究室等でLANを利用できるようになり,インターネットの本格的な利用が可能となった。本稿では,工業試験場におけるLANの整備過程について述べる。
キーワード:LAN,スイッチングHUB,スター型,ファストイーサネット,インターネット
レーザ光利用によるセラミックスの薄膜化
南川俊治 瀬川和仁 米澤保人
- 本研究は,酸化物超伝導セラミックスの優れた特性を薄膜機能素子として利用するため,レーザアブレーション法を用いて,単結晶(100)MgO基板上に良質の酸化物高温超伝導体(YBa2Cu3Ox)薄膜を作製する技術開発を行った。1200℃の高温アニール処理を行ったMgO基板を用いることにより,薄膜は基板に垂直にc軸が配向するだけでなく面内にも配向し,液体窒素温度(77K),ゼロ磁場で106A/cm2を超える臨界電流密度を示した。また,アブレーションに同期した薄膜表面へのレーザ光照射では,a軸配向成長を促進することがわかった。また,20mJ/cm2程度の照射強度では,粒界面の結晶性,表面形状が改善したこと,併せて,c軸配向膜中に微量のa軸配向の結晶粒が導入することから,2倍程度の臨界電流密度の改善があり,77K,ゼロ磁場で 2.6×106A/cm2の臨界電流密度の薄膜を得た。
キーワード:レーザアブレーション,超伝導薄膜薄膜,MgO,アニール, YBa2Cu3Ox
高強度・高靭性鋳物の製造と評価
舟木克之 安井治之 西村芳典 多加充彦
- 本研究では,機械部品の軽量化,低コスト化用高機能性材料としてオーステンパ球状黒鉛鋳鉄(ADI)に着目し,その製造技術の観点から素材鋳物中のSi含有量やオーステンパ条件がADIの強靭性に及ぼす影響について検討した。得られた結果は以下の通りである。
- (1)ADIのシャルピー衝撃値は,Siが3.2〜3.4%の時に最大となるので,球状黒鉛鋳鉄の元湯の場合, Fe-Siの炉前添加により加珪することが望ましい。
- (2)ADIを450℃で3.6ksオーステンパ処理した場合,400℃処理の場合と硬さや引張強度は変わらないが,衝 撃値が1/5に低下した。400℃を越えるオーステンパは推奨できない。
- (3)325℃,375℃でオーステンパしたADIの衝撃値は,わずか600sで高い衝撃値を示すようになるが, ADI内部組織の結晶的変化は375℃処理では600s,325℃処理では2.4ksまで続いているので,処理温度毎 に適正な保持時間を選定する必要がある。
キーワード:球状黒鉛鋳鉄,オーステンパ,機械的性質,X線回折
超精密ポリッシング加工と評価
−磁性流体を利用した超精密研磨−
坂谷勝明 廣崎憲一
- 近年,精密機器や情報機器が高性能化するのにともなって,それらを構成する硬ぜい性材料部品には,安価で高能率な加工法が求められるようになっている。本研究では,研削加工と最終仕上げ研磨加工の一体化をめざして,磁性流体を利用した超精密研磨法を開発し,試作装置によるシリコンウエハ等の研磨実験を行った。その結果,加工能率はポリシャと加工面間のクリアランスが一定以上になると急激に低下し,加工面の表面粗さは,基本的には使用する砥粒径に依存するが,微細な砥粒を使用すれば,ナノメータオーダの表面粗さを得ることも可能であることが確認できた。また,水ベースとケロシンベースの磁性流体を比較した場合,水ベースの磁性流体を用いた方が研磨能率は低いが,表面粗さが小さくなる傾向にあることが明らかとなった。
キーワード:超精密研磨,磁性流体,シリコンウエハ,加工量,原子間力顕微鏡,表面粗さ
綜絖枠の性能試験システムの開発
新谷隆二
- ウォータジェットルームやエアジェットルーム等の高速織機用へルドフレームの性能向上のため,本研究では,ヘルドフレームの動的変位を多点計測できる性能試験システムの開発を行なった。開発した性能試験システムは,複数個のレーザー変位計でヘルドフレームの動的変位を測定し,ヘルドフレームのたわみ量をアニメーションで表示するものである。
- 本システムを用いて,アルミ製とC−FRP製のヘルドフレームの性能試験を行った結果,アルミ製と比較して,軽量なC−FRP製の方がたわみが少ないことが明らかとなった。また,今後のヘルドフレームの開発に有効なシステムであることが明らかとなった。
キーワード:ヘルドフレーム,開口,多点計測,アニメーション
エアジェットルーム用補助ノズルの風速分布
−モデルノズルの場合−
新谷隆二 土定育英 近岡和英
- 本研究は,エアジェットルームに使用されている補助ノズルの性能向上を目的としている。本報では,補助ノズル出口での流れの状態を明らかにするために,ノズル出口の流速分布を熱線流速計を用いて測定し,流路面積および出口断面形状が噴射角度に及ぼす影響について調べた。
- 噴流中心流速の分布は,ノズル出口近傍を除き流路面積,出口断面形状によらず,軸対称噴流と同様に,ノズル出口からの距離に反比例する。また,噴射角度は,流路面積,出口断面形状および出口流速によって異なり,出口における鉛直方向の流速分布が影響している。つまり,ノズル出口において,流れは縮流を起こし,この縮流の状態が出口流速に応じて変化するため,噴射角度は一定にならないことが明かとなった。
キーワード:エアジェットルーム,補助ノズル,噴流,縮流
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