平成6年度研究報告 VOL.44(2/2)


漆塗膜の粘弾性

江頭俊郎、市川太刀雄、坂本誠

 我々はこれまで漆塗膜の耐光性向上のために,漆液にウルシオール添加法や高速分散法などを適用してきた。漆液に対するこれらの処理によって、漆塗膜の力学的性質や化学構造にどのような影饗があるかを明らかにするために,数種類の漆塗膜の動的粘弾性を測定した。その結果,透漆は黒漆よりガラス転移点が高く,最低弾性率も大きかった。透漆と黒漆のいずれについても、漆液に含まれるウルシオール量が多いほど最低弾性率が低かった。高速分散処理した漆液も元の漆液に比ぺて乾操硬化が遅くなり,その塗膜の最低弾性率も低くなった。漆塗膜のガラス転移点や最低弾性率には,その漆の乾操時間が非常に影饗することが明らかになった。
キーワード:漆塗膜,ウルシオール,粘弾牲ガラス転移点



セラミックス皮膜によるアルミ部材の耐久性向上に関する研究開発

中村静夫、山名一男、北川賀津、大橋憲太郎

 基板に皮膜形成する手法として、ホウ酸を添加した珪フッ化水素酸水溶液に基板を浸洩し基板表面にSiO2を形成することが提案されている。この手法は、LPD(液相析出)法と呼ばれ、ガラス基板への皮膜形成に用いられている。この手法を用い珪フッ化アンモニウムに飽和ホウ酸水溶液を加えることにより、アルミニウーム基板表面上にSi化合物を析出させることが出来た。この時、珪フッ化アンモニウム水溶液の濃度、反応温度を変化させて実験を行った。これらの結果から最適な合成条件、このプロセスでの析出機構について考察した。
キーワード:液相析出、酸化珪素、セラミックス皮膜、アルミニウム



石川ハイテクサテライトセン夕一調査報告(第5報)

米国における電磁ノイズ関連技術調査 吉村慶之

 電子技術の発展にともない,電磁ノイズ陣害が杜会問題となっている。この対策技術と,規格制定に関して,日本国内よりも技術が進んでいる米国において謂査した。その結果,こ磁環境両立性に関する国際規格には,まだ不透明な部分か多く残されており,現在もなお,策定が進められていた。また,欧州連合国への輸出の際に必要となるCEマークヘの対応,対策準備が整備されつつあった。今後, これらの謁査結果を県内企業への指導相談の参考とする。
 なお,本t査は平成6年10月l日から10月20日にかけて以下の機関において調査を行った。
(l)コロラド州・・・・・・・・・・・・・・・・・標準技術研究所
(2)テキサス州・・・・・・・・・・・・・・・・・EMCO社
(3)マサチューセッツ州・・・・・・・・・KeyTek社,マサチ ユーセッツ工科大学
(4)ニョーク州・・・・・・・・・・・・・レンセラー工芸大学
(5)メリーランド州・・・・・・・・連邦通信委員会
キーワード:電磁ノイズ障害、規格、電磁環境両立性,CEマーク



石川ハイテクサテライトセン夕‐調査報告(第6報)

中国の環境基準と粘土鉱物資源について 宮本正規

 l994年ll月からl2月にかけて中華人民共和国(以後”中国” と略記する)武漢大学を訪問し、中国における環境基準と粘土鉱物資源(カオリン)について情報収集を行った。その結果は以下の通り。
(l)中国政府はl979年に環境保護法を制定し,環境保護事業を国の基本国策としている。その一環として、武漢大学はl984年に,環境科学部を設置した。
(2)中国のカオリンの成因は,主に風化残留型,風化溶脱型で、その埋蔵旦は3億tを超える.
キーワード:環境基準、鉱物資源、カオリン


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