平成6年度研究報告 VOL.44(1/2)



異種金属材料の溶接加工と評価

嶺蔭士朗,西村芳典,多加充彦,廣崎憲一

  異種金属材料の溶接を行うには,あらかじめ溶接継手の性能や特性を知っておく必要がある。ここでは,セルフシールドアーク溶接法により,普通鋼とステンレス鋼の突合せ溶接したときの溶接熱が,機械的特性(引張曲げ強度・硬さ)や金属組織に及ぼす影響について調査し,以下のことを得た。
(l)初層時の溶込み不良や最終ビードにおける重ね部分の融合不良などを少なくする条件として,初層時の溶接電流l50A,最終層ではl30Aが適切であった。
(2)溶接部の微小欠陥は,引張強度より曲げ強度に影饗を及ぼす
(3)溶接金属の組織は,入熱量に大きく依存し250Aになると溶接境界部近傍の結晶が粗大化しオーステナイト地に20-35%程度のフヱライトが存在した組織となる。
キーワード:異種金属材、セルフシールドアーク溶接、ステンレス鋼、突合せ溶接継手





電気泳動現象利用による光学ガラスの超精密研磨

坂谷勝明、廣崎憲一

 最近,光学部品の高精度化の要求に伴って,いくつかの超精密非接触ポリシ加工が実用化されている。これらの加工法は加工単位が非常に小さく,加工変質眉を極小化できる利点がある反面,加工能率がきわめて低いとう問題がある。本研究では,水中における砥粒の電気泳動現象を利用して,非接触方式の高能率研磨法を開発した。金属製円盤状ポリシャを用いた研磨装置により光学ガラスの研磨実研を行った結果,加工量は印加電圧の増大とともに増加することがわかった。また,Si02微細砥粒による研磨面を原子間力顕微鏡により観察した結果、電圧を印加したt場合においてもnmオーダの表面粗さが得られることが明らかとなった。
キーワード:精密研磨,非接蝕型研磨,電気泳動現象.光学ガラス、加工量、原子間力顕微鏡、表面粗さ







製織準備工程における糸自動張力制御技術

森大介、高広政彦、田川高司、 南喜八郎

  製織準備工程での糸張力管理は,織物品質を向上するために非常に重要である。この糸張力の管理不良は糸の染色性を変化させることになり,これが織物欠点発生の原因の一つとなる。 そこで,本研究は糸種,糸の巻形状および糸速度の変化に対応できる自動張力制御システムを開発した。また、部分整経機に従来の張力調節器と開発した自動張力制御システムを用いて比較をした。
キーワード:糸張力, 部分整経機



DLC膜の硬さと密着性評価法

舟田義則,粟津薫,笠森正人

  イオンビーム技術の適用により優れた性質のDLC膜の開発か可能となったが,その基本的な性質である硬さや密着性を十分に評価するための手法が未だ確立されておらず,大きな謀題となっていた。そこで、本研究では1μm以下の極めて薄いDLC膜の硬さおよび密着性を評価するための手法を検討した。
 その拮果,DLC膜の硬さ評価に関しては,超微小硬度計より得られる圧子押し込み特性を解析することによ基板硬さに依存しないDLC膜本来の硬さ評価が可能となった。DLC膜の密着性評価では,スクラッチ試験時に倹出されるAE信号を波形解析することにより,DLC膜の剥雑に関する挙動を定量的に把握することかでき,密着性に関係する指標が得られることがわかった。
キーワード:DLC,超微小硬度計,庄子押し込み特性,スクラッチ試験、AE,AE原波形解析


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