平成4年度研究報告  VOL.42(2/2)


漆の計測技術と漆の評価に関する研究

坂本 誠

 漆塗の製品の品質向上を行うには、原料である生漆の選択が一番重要である。生漆の殆どを中華人民共和国からの輸入に頼っているのが現状で、一般に生漆の品質検査は、勘や目視による長年の経験による評価方法で取り引きされている。このため、本研究では、特に透漆に適した漆液と漆塗膜の計測方法と評価方法について検討を行い、その結果、次のことが判明した。1) 漆液の乾燥時間測定は、乾燥条件の湿度を80%RH以下で測定すれば、生漆の品質評価が容易になる。2) 漆液の組成分析には、迅速で勘弁な中和適定法でウルシオールを定量し、水分量は、カールヒシャー水分計を用いることによって、漆液の品質評価ができる。3) 透明性の良好な漆塗膜を得るには、生漆の選択が重要である。そのためには、漆の手成分であるウルシオールの透過度、色見を測定し、漆液に透明性の良いウルシオールを添加すればよい。
キーワード: 漆、品質、ウルシオール、分析、計測、塗膜




珪藻土を原料とするカオリナイト粘土の合成とその応用

宮本正規 山名一男 嶺陰士郎

 精製した珪藻土と2種類のアルミナ化合物の組み合わせから水熱合成法によって高純度なカオリナイトが合成された。この反応家庭でpH調整を行うことによって、反応性を高めることができた。今回、この人工粘土の特製評価を行うとともに人工粘土から小型のクラフト製品機能性セラミックスを試作した。また、人工粘土の原料となる精製した珪藻土を主原料とした工芸ガラスについても試作した。その結果の要旨は以下の通り。1) 人工粘土は陶磁器用に用いられている堆積性粘土と比較して結晶度指数が高い。2) 人工粘土から陶磁器質の卓上型万年筆と溶鉱用酸素センサーとなるムライト管を試作した。3) 試作した工芸ガラスは自然をイメーギしたエメラルドグリーンに発色している。この工芸ガラスはソーダガラスであるけれども溶融しやすく吹き成形も容易である。
キーワード: 珪藻土、水熱合成、人工粘土、カオリナイト、可塑性、工芸ガラス、万年筆、タンマン管




石川ハイテクサテライトU.S.A.調査報告(第3報)

佐渡康夫,山本 孝,高橋哲郎

 これまでに, 米国ノースウエスタン大学とノースカロライナ州立大学に石川ハイテクサテライトセンターU.S.A.を開設し, 先端技術情報の拠点としてきた。 1991年 月から 月にかけて佐渡,山本,高橋の3名が両大学を訪問し,繊維,食品,デザインの各分野を調査した。
(1)  繊維
(2)  食品
(3) デザインの動向としては、大学の応用人間工学、企業のC.I.(コーポレートアイデンティティ)戦略、行政の福祉機器開発が際立っており、相互により良い関係をもちながら研究開発を進めていた。
キーワード:



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