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耐衝撃性の高い軽量複合材料の製造技術の開発
■丸井織物株式会社 新事業推進室 永井章裕
■技術開発の背景
自動車・車両業界では,地球温暖化の原因とされる排気ガス軽減を実現するために,車両の軽量化が進められている。そのため,航空宇宙産業で実用化されている炭素繊維複合材料を車両に利用することが期待されている。しかし,複合材は軽量で高剛性であるが,衝撃により簡単に破損し,貫通することがある。また,複雑な形状の部品を作るのにも多くの時間が掛かっている。本研究では,衝撃性や賦形性等の試験評価で工業試験場の支援も得て,軽量で耐衝撃性に優れた複雑形状にも簡単に対応できる複合材部材の製造技術の開発に取り組んだ。
■技術開発の内容
上記の開発を達成するため,軽量コア材を,高強度な炭素繊維と耐衝撃性のポリアリレート液晶繊維の織物・組紐で両側から積層したサンドイッチ構造(下図右)とし,樹脂で一体成形することを目指した。糸の太さや組織を検討し,三次元形状にも簡単に賦形できる織物構造を実現した。また,発泡剤を用いた低比重コア材の開発により,軽量化を可能とした。
(従来の炭素繊維複合材)
(本研究開発品)
■製品の特徴
開発した上記のパネル材は,従来の炭素繊維のパネル材よりも軽量で貫通しにくく,またHIC(Head Injury Criteria:頭部障害基準値)試験結果は,鉄板より小さく,750を超えると致命的な頭部損傷のリスクが起こり始めるといわれるHIC値以下の値となった(下表)。
(表 開発した複合材料の比較)
■今後の展開
技術開発した複合材料を車両メーカーへ提案し意見交換を進めながら,採用・製品化を目指している。また,車両分野への納入に向けた生産技術の確立を行っていきたい。これ以外の用途,産業分野へも応用展開していきたい。