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乳酸菌を活用した新しい機能性食品・お米ヨーグルトの開発

■株式会社福光屋 松井圭三

■技術開発の背景
 近年,高齢化の進行,食生活や社会環境の変化による生活習慣病等の増加により医療費が急増しているという現状がある。一方,消費者傾向としては,病気になってから医療や薬に頼るのではなく,予防あるいは未病対策を日常生活の中で取り入れる考え方が浸透してきており,その中でも特に機能性食品が注目され,メタボ予防や高齢者向け食品のニーズが増えてきている。今回は,このような社会的背景を受けて,日本人が最も慣れ親しんできた「米」を原料とし,「発酵」という技術を駆使することにより,国民の健康と高齢者問題に貢献する高機能な健康発酵食品について都市エリア事業により,金沢大学,工業試験場と共同で開発に取り組んだ。

■技術開発の内容
 酒蔵には古くからある伝統的発酵食品「甘酒」がある。甘酒には,ブドウ糖,天然型吸収ビタミン群,必須アミノ酸などの多くの有用な成分が含まれており,「飲む点滴」と呼ばれるほど,日本では古くから暑気払いや滋養強壮のために飲まれてきた。
今回は,酵素力価の高い麹菌を選抜するとともに発酵条件の検討により酵素生産を高めた麹菌を用い,高濃度の米糖化物を調製した。さらにこの米糖化物を選抜した機能性(サイトカイン産生向上作用等)を持つ乳酸菌(図1)を用いて発酵を行うことにより,天然由来の高品質健康飲料(図2),更に固形の健康食品(図3)の開発を行った。

(図1 ラクトバチルス・プランタラム)
(図2 ドリンクタイプ)
(図3 カップタイプ)

■製品の特徴
 乳あるいは大豆を原料とした食品はアレルギーの問題があり,特に乳幼児,介護・高齢者はアレルギー症状が重篤な事態を招くケースも少なくない。また,食品の全成分表示の義務付けから原料成分に対しても関心が高まったことから,自然派・無添加食品に消費者の注目が集まっている。本製品は,乳,大豆代替として,日本人の食の中心である米を原料とし,麹菌,乳酸菌による発酵を駆使して得られた発酵物を利用して,天然由来成分で構成される安全・安心な機能性発酵食品である。さらに,原料または発酵物を微粉砕することで食感を向上させるており,健常者はもちろん,アレルギー患者や乳幼児,介護・高齢者等多様な消費者に対応した嗜好性が広い食品となっている。

■今後の展開
 試験管レベルからヒト介入試験までの機能性評価を実施し,明確な機能性エビデンスを有する製品開発を行っていく予定である。