簡易テキスト版

簡易テキストページは図や表を省略しています。
全文をご覧になりたい方は、PDF版をダウンロードしてください。

全文(PDFファイル:19KB、1ページ)

大型成形部品の多品種少量生産に適した油圧プレス用簡易金型製造技術の構築

■株式会社北日本テクノス 生産企画部 小林睦明

■技術開発の背景
 バス,トラック,建設機械及び農業機械等の大型車両製造の川下製造業者において,車両の付加価値向上及び衝突安全性向上を図るため部品点数が増加している。例えば,観光バスの製造では部品点数は2万点を超えているのが現状であり,安価な中国製及び韓国製のバスに対して競争力を維持する必要がある。したがって,これら大型車両全体のコストを低減するためには,「金型の低コスト化」及び「部品点数の削減」が必須である。
 これらの課題を克服するための技術開発は,近年特に要請の強い「多品種少量生産への対応」にも大きく寄与するものである。そこで,弊社は,日新レジン(株)(横浜市),ジェイ・バス(株)(小松市),金沢工業大学,石川県工業試験場と共同で開発を行った(経済産業省:戦略的基盤技術高度化支援事業)。

■技術開発の内容
 技術開発の内容は,[1]耐久性,耐摩耗性,強度に優れた表面材樹脂の開発及びコア材の開発,[2]プレス品の成形可能な限界形状の検証及び成形しわが出ない成形技術の確立,[3]複数部品の一体成形,[4]樹脂製金型の形状変化に関するデータ収集及び分析を行った。

■製品の特徴
 樹脂製金型(図1参照)の大きな特徴として以下の3点が挙げられる。
1. 金属製金型の製造コストと比較して30%以上削減
2. 金属製金型の製造リードタイムと比較して50%以上削減
3. 樹脂製金型の部分改修による設計変更への早期対応及び摩耗部位の復元(リニューアル)

(図1 樹脂製金型)

■今後の展開
 現在の樹脂製金型は3層型であるが,さらに樹脂製金型のメリットを出すため,2層型の樹脂製金型も開発する。また,実際の大型観光バスの一部に複数部品の一体成形品を用いることにより車両価格の低減及び車両の軽量化による燃費向上に貢献する。さらに,路線バスの部品においても樹脂製金型による複数部品の一体成形を提案する。