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九谷焼陶筥の開発

■株式会社錦山窯 吉田 幸央

■技術開発の背景
  錦山窯は初代から,九谷焼の伝統的な技法である金彩を特徴として,主に美術工芸品を製作していますが,作家としてのブランドのみならず,新しい九谷焼の窯元や職人の集積地としてのブランドのあり方を探しています。
  平成20年度に石川県の伝統産業振興室が関係団体と連携して実施した「伝統産業商品提案力育成事業」に参加し,九谷焼上絵付け技術の高さや装飾の豊かさを活かした新商品の開発を行いました。

(錦山窯の商品)

■技術開発の内容
  従来から,九谷焼の花器や飾皿のインテリア関連のアイテムを製作していますが,今回は現代の生活空間に合うよう,新商品の企画段階から外部専門家とターゲットのイメージの検討を重ねて,オーナメントとしても様々な使い方が楽しめる陶筥(陶磁器小箱)の開発を行いました。
  特に工業試験場へ相談し,工芸素材の高品位な質感を表現する伝統工芸デザイン支援システムを利用して,錦山窯が持つ多数の上絵柄をCG画像で検討したことによって,従来の画風にはなかったモダンで斬新な図柄を創出できました。

(CG図案集)

■製品の特徴
  高価格で小さな陶磁器の箱ですが,所有することに喜びを感じて頂くよう,技術力の高い職人が,CG図案を基にして,1点1点手描きで製作します。
・素地:九谷陶磁器の鋳込み成形によるシンプルな造形の小筥
・上絵:青粒手・色絵金彩・白盛・金盛・金ブリ・釉 裏金彩など,金と手数を惜しまない奥行き感のある上絵付け技法

(開発商品:九谷焼陶筥「Cobako」)

■今後の展開
  昨年のIFFT/インテリアライフスタイルリビング2008に出展し,百貨店,ギャラリー等,多方面から問い合わせ頂きました。今後は,実売に繋がる価格を設定し,陶筥の形状や文様,パッケージ等の改善を図ります。
  また,地元高堂町の職人達が持つ個性的な作風づくりを心がけ,お互いに影響することで,高級九谷焼の地域ブランド化を再構築したいと考えています。