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RP技術を用いたダイレクト耐熱性鋳造鋳型の開発
■(有)小松鋳型製作所 RP事業部 井家洋
■技術開発の背景
鋳造部品の供給において,新製品の開発サイクル短縮化と小ロット化に価格や納期で対応するためには,従来の技術概念から脱却した,新しい鋳造プロセスの開発が急務と考えられます。
そこで当社では,ラピッドプロトタイプ機(迅速造型機 以下RP機)による鋳型の直接造型技術を導入し,新しい鋳型材を用いた造型技術の開発に取り組んでいます。
現在のRP機による鋳型製造技術の課題として,「鋳型の原料コスト」「鋳造品へ転写される鋳型の面粗度」「鋳造品のガス欠陥」「高融点鋳造素材への対応」 などが挙げられます。これらを克服するため,本技術開発では,最新のRP機の特徴と中子製造業としての当社の技術ノウハウを融合させ,迅速かつ耐熱性のある鋳型の造型技術を新たに開発することを目的としました。そのため,当社では,鋳造関連企業や石川県工業試験場との連携のもと,「石川県産学・産業間連携モノづくり産業生産技術高度化事業」の採択を受けて,平成19年度より研究開発を行っております。
■技術開発の内容
前述課題を克服するため,鋳型完成までの各プロセスにおいて,テーマを設定しました(表1)。
[1]鋳型形状の検討(通気度を確保し,ガス欠陥を最小限にするための鋳型の薄肉化),[2]新しい造型積層粉末の選定(低コストを維持し,耐熱性を有する鋳型の開発)[3]造型終了後の塗型剤並びに乾燥時間の検討,及び[4]鋳型形状維持のためのサポート手法の確立等です。
各テーマで検討した鋳型の材質配合や造型条件,及び焼成条件は,工業試験場等で評価測定を行うことにより,最適値を確立し,安定して製造するためのマニュアル化を進めております。
(表1 開発のテーマ)
■製品の特徴
耐熱性ダイレクト鋳型は,CADデータから雌型を直接造型するため,薄肉化・一体成形を図るため工程の低減が容易,かつ鋳型には改良粉末素材を用います。その結果,本手法を用いた鋳造品には,
・短納期
・雄型不要によるコスト削減
・一体化による精度UPと鋳バリの減少
・従来品では製造不能な複雑鋳造品も製造可能 などの特徴があります。(図1)
(図1 鋳造品および鋳型の例)
■今後の展開
現時点では,低融点金属(アルミ・銅など)鋳物に対応しているだけですが,今後は,高融点の金属(鉄・ステンレスなど)での適用に着手する予定です。