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中高齢者ニーズに対応した快適衣料の研究開発

■繊維生活部 ○杉浦由季恵 餘久保優子 守田啓輔

1.目 的
  団塊世代の高齢化に向け,中高齢者衣料の快適性はより重要な開発要素となっている。そのため,県内繊維関連企業と工業試験場が連携し「いしかわユニバーサルファッション研究会」を平成16年度に発足した。現在,研究会には,織編物製造業,縫製業,教育機関等に所属する8名が参加している。ここでは,婦人中高年齢者を対象に,生活をより豊かにする衣料の機能性・ファッション性について調査・分析を行い,そのニーズに合った県内合繊素材による快適な婦人衣料の研究開発を行った。本発表では,その開発事例を報告する。

2.内 容
2.1 コンセプトの設定について
  工業試験場では,中高齢女性の嗜好やファッショントレンド情報を基に「いしかわユニバーサルファッション研究会」メンバーと意見交換を進めた。機能性やデザイン性のニーズ調査や分析結果に従い,次のコンセプトを設定した。
・テ ー マ /「生き生きしたマダムへの提案」−元気で若々しい中高齢女性向け−
・シ ー ン /「 旅 」−旅行への嗜好−
・アイテム /「スカーフ取り外しブラウス」
・キーワード/ (1)着回し(2)個性(3)楽しい(4)コンパクト(5)華やか 等

2.2 嗜好別の提案(イメージマップ)について
  コンセプトを基に,中高齢女性を4タイプ(ロマンチック,ナチュラル,シック,ゴージャス)に分け,嗜好別のイメージ・カラー・素材・スタイルの提案を行った。 
(1) 「ロマンチック」:優しく包み込むような暖かさを感じさせるキュートなマダムへ
・カラー / パステルカラーや暖色を中心としたペールトーン
・素 材 / 透け感や,柔らかな素材
(2) 「ナチュラル」:自然の中で穏やかな時を過ごし,先人の知恵や文化を大切にした暮らしを愛するマダムへ
・カラー / 中間色を基調としたベージュやオフホワイト
・素 材 / 表面感の凹凸が自然界の砂や石の表面のように粗野で心地よいもの
(3) 「シック」:50年代のレトロモダンを感じさせる,品の良いマダムへ
・カラー / モノトーンや古びたシックなカラー
・素 材 / ツイード素材のように,目の詰んだ正統派素材
(4)「ゴージャス」:ハリウッドの女優のようにセクシーでパワフルなマダムへ
・カラー / ビビットカラーやゴールドなど華やかなカラー
・素 材 / 光沢感や金属糸を用いた素材,サイケを思わせるようなプリント素材

2.3 試作提案について 
  県内合繊織編素材による嗜好別4体の婦人中高者用スーツ,スカート,セーター等の試作を行った。各スタイルに合わせ,「着回し」「楽しい」「華やか」「温冷調整」等の着用者の個性を生かした使用方法が可能なアイテムとして,スカーフの試作も行った。

2.4 評価
  試作した衣料について,おしゃれに関心の高い中高齢者10名に着用してもらい,生の意見を基に商品化へ向けた改良を加えるためのアンケートと,聞き取り調査を行った。この調査は,平成17年9月5日に小松市三日市商店街「おけいこ座」において実施した。年代,既製服のサイズ,好みの素材,ゆとりサイズ,着心地,購入先,価格の各項目について着用アンケートを行った。

2.5 改良
  アンケート結果を踏まえ,商品化を想定したショール5点,ニット1点を改良試作した。改良については,人気のあったカットジャカード素材を用いたショールの固定方法や類似素材によるバリエーションをつけた。オーガンジ素材は,折り紙のようなしわ加工を施したコンパクトなショールにした。着やすく,手作り感が好評だった手編みニットは,工業生産への対応と価格を抑えるため,カットソー(ニット素材を裁断,縫製した製品)に置き換えた。

3.結 果
  試作・改良を行った製品を更に,商品化へと進める取り組みとして,次の展示会やアンテナ
ショップへの参加を行った。
・第18回石川県中小企業技術交流展(H17.5.19-21) 
・第41回全国繊維交流プラザ(H17.11.12-13)
・第9回繊維総合見本市 JAPAN CREATION 2006(H17.12.7-9)
・婦人服専門店「サンムロヤ」でのアンテナショップ(H18.5.13-6.23)