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電波吸収体タイルの開発と製品化

■ニッコー株式会社 技術部 西田 斉

■技術開発の背景
   ニッコーが陶磁器の製造において長年培ってきた高品位セラミックスの焼成と精密な印刷技術を基に,電子セラミック事業部はスタートいたしました。現在では電子部品向けセラミック素材の開発から高密度実装品の量産まで,幅広い製品を手掛けております。
 近年,電磁環境の変化からEMC(電磁両立性)が注目されるようになり,電磁波を積極的にコントロールする必要性から電波吸収体の要求が高まっています。そこで,当社では早くから携帯電話などで利用される高周波数帯に対応した電波吸収体の開発に取り組むとともに,外装タイルの製造技術を応用し,廃棄物を利用した電波吸収体タイルの製品化を進めてきました。

■技術開発の内容
 当社では広範囲にわたるニーズに対応可能な材料開発とコストパフォーマンスを追求し,磁性体であるイルメナイトやフェライト材料を中心として単層型から複層型の電波吸収体の開発を行っております。

■製品の特徴
 [広い範囲の周波数に対応]
 電波吸収材料として周波数毎に最適な磁性材料を選択いたします。例えば600MHz〜2GHzでは「顆粒フェライト」2GHz以上では「砂状磁鉄鉱」を用いて充填量・厚さを最適化して用途・目的に合わせます。使用環境により誘電体材料を添加することも可能です。
 [薄い]
 高充填化・精度制御技術により0.5〜10mmの薄いシートにすることが可能です。

図1 復層吸収体(上)と大型フェライトタイル(下)

■今後の展開
 ドライブスルーの料金支払(DSRC)の利用が検討されており,無線LAN等の移動通信機器の混信や情報漏えい防止にも対応したセメント形不燃ボード「エコレスキュー」や,ICタグ等のユビキタス環境に対応する電波吸収ゴムシート「アブソラバー」等を開発してまいりました。今後も,顧客に最適な電波吸収体を提供するべく更なる製品開発を行ってまいります。