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非衣料繊維資材の開発
■創和テキスタイル株式会社 野々市工場テク・テキスタイル部 波多野 武
■技術開発の背景
1.ジオテキスタイル
土木分野では道路,橋梁,及びトンネルなどの,低価格で効果的な補修・補強工法の開発が切望されている。弊社では,下記の異業種企業と連携し,アスファルト道路の補修・補強に用いる繊維シートの研究開発を行った。
2.炭素繊維ソフトコンポジット
炭素繊維は,高強力,高弾性率,有機繊維並みの軽さなどの特徴がある。樹脂と組み合わせた複合材料の形で航空機や土木補強,スポーツ用品等の工業材料として用いられているが,身近な生活用品に使用できる材料ではなかった。そこで,弊社ではこの用途に着目し,炭素繊維を身近な製品として使用できる中間表材の開発を行った。
■技術開発の内容
(図1 ジオテキスタイルの試験施工現場)
1.ジオテキスタイル
アラミドや高強度ビニロン糸を使用し,熱融着及びカラミ織手法を用いることにより,たてよこ糸が15〜20mmの格子形状を保持する繊維シートの試作開発を行った。この繊維シートをアスファルト層に混入することにより,新設又は古くなった道路を従来手法と比較して低価格で補修・補強をすることができる。3点曲げ試験の結果,アスファルトの中央に繊維シートを混入した場合,強度に影響を及ぼさないが,靱性の向上に効果があった。(共同開発:北川ヒューテック(株),真柄建設(株),石川県工業試験場,(株)繊維リソースいしかわ)
2.炭素繊維ソフトコンポジット
炭素繊維糸は千本から1万本の極細い単繊維から構成されており,独特の光沢を持っているが,当社はこの意匠性に注目した。炭素繊維の黒い光沢を生かした織物に織り上げ,柔軟性のある樹脂と適正な樹脂付着量による樹脂含浸を施し,炭素繊維独特の炭色の光沢感を引き出し,柔軟性があり縫製可能な中間素材“ソフトコンポジット”を開発した。カバンなどの袋物,椅子張り地,など生活用品分野への用途創出ができる。(共同開発;平松産業(株))
■製品の特徴
1.ジオテキスタイル
道路下層部の路盤層と上層部のアスファルト層の中間部(工法1),またはアスファルト層の中間部(工法2)に設置しアスファルトの曲げたわみへの抵抗性を改善する。舗装面のひび割れの進展を抑制し耐久性を向上させ,長寿命化をはかる。
2.炭素繊維ソフトコンポジット
(1)炭素繊維独特の光沢感を持つ。(2)炭素繊維織物そのものに比べ,耐摩耗性がある。 (3)柔軟性を持つ。(4)切り口ホツレを改善。(5)縫製が可能。
■今後の展開
1. ジオテキスタイル;織物の改良や追加実験を行い,石川県新工法認定を目指している。
2.炭素繊維ソフトコンポジット;非衣料繊維資材としての応用製品の開発,耐久性の確認。