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両頭平面研削盤ドレスアームの自励振動対策

■株式会社東振精機 技術開発課 冨田 航 谷口 靖憲

■技術開発の背景
   弊社はベアリング組込用ローラの専門メーカとして,多くのベアリングメーカに多種類のローラを供給している。コストと技術の両面から納得したローラを作るために自社で生産設備を開発・製造しているが,今回新たに,加工可能な寸法範囲は従来機と同等ながら装置全体を小型化した高精度両頭平面研削盤DS-TN23の開発を行った。

■技術開発の内容
   開発時の一番の課題はドレッシング時のうなり音であった。うなり音のするドレッシングでは砥石表面が荒れ,加工品質に問題が出る。うなり発生時の機械振動のFFT解析やハンマリングによるFFT解析を行った結果,機械の固有振動数が300Hz付近であり,うなり音が大きく聞こえるときはこの周波数のゲインが大きいということがわかった。機械各部の剛性を上げてみたがうなり音は消えず,その振動数も300Hz付近のまま変化しなかった。
 そこで,石川県工業試験場に協力を依頼し,モーダル解析・有限要素法解析による原因調査を行った結果,ドレッシング時は固有振動数285Hzでドレスアーム先端が大きく振幅していることが突き止められた。この結果から,ドレスアームの形状と材質を変更して剛性を上げ,その固有振動数を高く引き上げることでうなり音を無くすことができた。

(図1 両頭平面研削盤 DS-TN23)

■製品の特徴
  開発した両頭平面研削盤は次のような特徴を持つ。
(1)高剛性をねらったスラントベッド構造の採用
(2)ベッドの熱変位対策として断熱トレンチ構造の採用
(3)加工ワーク変更時の段取支援機能
(4)機械設置スペース従来比20%削減
(5)砥石軸スライドの移動をサーボモータに統一し,油圧ユニットを廃止(従来機は油圧とサーボモータの併用)

■今後の展開
 自社用として製作・使用実績を積み,さらに改良を加えて外販できるように進めていく予定である。