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1.目 的 近年,食に対する消費者ニーズは栄養素の摂取やおいしさを感じさせる感覚機能の充足だけでなく,生活習慣病など種々の疾病に対する予防効果(生体調節機能)を期待するようになっている。このような食品の機能性への関心が高まっていることから,本県においても県産農産物の各種機能性成分を利用した加工食品の開発が望まれている。 加賀野菜は,昭和20年以前から栽培され,現在も主として金沢市で栽培されている野菜の中から,さつまいも(五郎島金時),加賀れんこん,たけのこ,加賀太きゅうり,金時草,加賀つるまめ,ヘタ紫なす,源助だいこん,せり,打木赤皮甘栗かぼちゃ,金沢一本太ねぎ,二塚からしな,赤ずいき,くわい,金沢春菊の15品目が「加賀野菜」として認定されている。 本研究では,工業試験場,農業総合研究センターが連携し,県内大学,企業の協力を得て,加賀野菜の機能性成分の検索及びその利用についての検討を行った。 2.内 容 2.1 試料 加賀野菜(15品目)は市販品及び金沢市農業センターから入手したものを用い,それぞれを凍結乾燥した後,粉砕し試料とした。対照の野菜は市販品を購入した。 2.2機能性評価 抗酸化能は,活性酸素1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl(DPPH)を用いたラジカル消去能で評価した。血圧上昇抑制効果は,血圧上昇に関与する酵素の一つであるアンジオテンシンT変換酵素(ACE)の阻害能を評価した。抗アレルギー効果は,炎症に関与している酵素と考えられているヒアルロニダーゼの阻害能で評価した。抗変異原性は,サルモネラ変異原性試験(エームス法)によって評価した。 2.3加賀野菜を利用した食品の開発 加賀野菜をそれぞれ,抽出,ペースト化,粉末化し,加賀野菜を食品素材とした製品の試作を行った。 3.結 果 3.1加賀野菜の機能性評価 加賀野菜15品目の中で,ヘタ紫なすのDPPHラジカル消去能が最も高く,次いで加賀つるまめ,加賀れんこん,金時草などの抗酸化能が高かった(図1)。抗酸化能が高かった野菜について,通常の市販野菜との抗酸化能を比較した結果,ほとんどの加賀野菜で,対照野菜よりも抗酸化能が高くなった。ACE阻害能は,二塚からしなが最も高く,次いで加賀つるまめ,くわい,ヘタ紫なすなどの阻害能が高かった。特に二塚からしなは,対照としたからしなと比較して,約3倍の阻害活性を示した(図2)。 ヒアルロニダーゼ阻害活性は,供試した加賀野菜の中ではほとんど活性はみられなかったが,金時草,源助だいこん,二塚からしな,金沢一本ねぎはわずかであるが阻害活性が認められた。 抗変異原性試験では,ヘタ紫なすと金時草に強い抗変異原性が認められた。二塚からしな,加賀れんこん,金沢春菊にも抗変異原性が認められた。 以上,加賀野菜の機能性データは,金沢市ブランド協会が作成した「加賀野菜パンフレット(栄養のお話)」に掲載された。 (図1 加賀野菜の抗酸化能) (図2 加賀野菜のACE阻害能) 3.2 加賀野菜を使った食品の開発 羽二重豆腐と共同で豆乳プリン,厚揚げなど冷蔵・冷凍惣菜を試作し,現在,販売に向けて検討を行っている(図3)。その他,坂尾甘露堂,青木クッキングスクール,柴舟小出,ビーロード,佃食品から加賀野菜を使った商品が発売された(図4)。 (図3 加賀野菜を使った冷蔵・冷凍惣菜の試作品)(羽二重豆腐) (図4 加賀野菜を利用した商品) (焼麩菓子)(坂尾甘露堂)(平成16年4月発売) (和風ケーキとめんつゆ)(青木クッキングスクール)(平成16年5月発売) (おやき)(柴舟小出)(平成15年9月発売) (化粧品)(ビーロード)(平成16年4月発売) (金時草梅酢漬け)(佃食品)(平成16年6月発売) |
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