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 リアルタイムなモニタリング機能をもつ
 独立型非接触検査ステージの開発
 株式会社ネイブ 開発部  表 慎吾*

■技術開発の背景
 自動車関連の業界では,化成品・板金プレス品の形状測定をする場合,三次元座標測定機(補足資料図2)やレイアウトマシン(補足資料図3)を使用する方法が主流である。前者は測定専従者が製品を機上にセットし,スタイラスを当てて計測し,自動的に数値表をアウトプットさせる方法で,現場の要請により新たに検査工程を組むという分散業務が強いられる。また,得られた計測結果が数値表の羅列であり実態が解りづらいという問題がある。後者は個人の技能による接触計測であり,画面上で計測結果を自ら読む方法で,その結果には必然的に個人差が生じることとなる。
 このような製品計測の現状のなかで,コンパクトで非接触かつ計測自由度が高い計測機の開発を行った(図1)。

(図1 独立型非接触検査ステージ)
(図2 三次元座標測定機)
(工場の一角に計測機を設置するための検査室をつくり,社内で加工された製作物を専従者が検査測定する。)
(図3 レイアウトマシン)
(作業者が定盤上に製品をセットし,測定面に針を接触させ、コンソール上に測定結果を表示させる。)

■技術開発の内容
(1) 独立型計測機の位置読み取りの研究
  電解腐食エッチング法により図柄を定盤に描き,位置精度の計測を画像センサーで行った。
 
画像センサーで撮像する図柄をあらかじめ登録された図柄とクエスト文字照合,線位置検索し,位置精度を±2μm以内にするための条件出し。 照合精度を上げるために,定盤上の図柄を最良のコントラストにするための条件出し。
(2) 製品のスキャニング計測の研究
  レーザ式変位センサーで距離精度を確認するため,最も分解能がよい角度を探るための実験。

(図4 定盤上の図柄)

■製品の特徴
(1) 軽量コンパクトであるため,三次元座標測定機やレイアウトマシンのような高価でスペースをとる設備が不要である。
(2) 画像センサーで線位置検索をするため,計測機本体の位置精度が±2μm以下となり(移動距離による積算誤差なし),この位置情報と計測情報よりパソコン上で二次元の距離計測ができる。
(3) ものづくりの現場で作業者が製品を計測し,差異を知ることで問題箇所を把握できる。さらに上流に伝えることで製作者と設計がカレントの情報を共有することができ,両者協議の上,修正法を策定できる。

■今後の展開
 計測機の付加価値を上げるため,本体内に電源ユニットを装備しコードレス化することで,計測作業性を向上させる。また製品計測ヘッド部の回転自由度を上げることで,多様な製品測定を可能にする研究をすすめる。価格を下げるため,本体骨格を鋳物化することで軽量,部品数の低減を図り自動車部品製造業に絞り安価で使いやすい計測機を追求する。


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