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 現代空間にマッチした漆塗り仏壇の開発
 有限会社わき  四十沢 宏治*

■技術開発の背景
 現代仏壇という市場が拡大する中,現代生活にマッチする本格的漆塗の仏壇は市場に存在していません。伝統仏壇が生活に合わなくなっても人々には心の拠り所が必要になってくる時があります。「こころの箱」である仏壇を現代生活に合う仏壇とするため私達は有限会社わきを立ち上げて開発に臨みました。こころの拠り所となる仏壇が漆である意味は大きく,そこに輪島塗で培った本物の技術が活かされる訳です。

■技術開発の内容
 開発の発端は石川県産業大学講座の受講に始まります。この中で新しい仏壇市場に可能性があることを知り,5人の技術を共に活かしてビジネスとするため(有)わきを設立して開発にあたりました。輪島の従来の製造管理システムや木地の設計から塗りの各工程,使用イメージまで細部に渡り検討。輪島塗の技術職の中でも若くて高レベルな人を選定するなど高いクオリティを目指しました。 

■製品の特徴
 従来の仏壇イメージを払拭し現代のモダンなインテリアに合わせるにはシンプルでかつ斬新であること。そのための扉の構造に腐心しました。「清風」には観音開きでなくドロップダウンタイプの扉を採用しました。しかも金具は見えません。壁掛タイプ製作の後,要望により据置(スタンド)タイプも開発。お部屋に合わせて扉や枠の色をお好みにすることもできます。
「明月」は小さな厨子で観音開きですが金具を最小限としました。扉には銀彩という派手ではないがシンプルでシックな蒔絵技法を用いました。

漆塗り仏壇「清風」
上:壁掛タイプ 下:据置きタイプ

漆塗り厨子「明月」

■今後の展開
 平成16年4月の日本橋三越での展示会に始まり,他の百貨店からの依頼も入ってきました。平成17年1月には阪急百貨店梅田店へ委託展示します。また「仏壇のはせがわ」への製造卸もめざしてアプローチを開始しています。今後メディアへの積極的な情報配信を開始するなど,積極的な販売促進を図っています。



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