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 機動性と利便性を兼ね揃えた
 食品循環資源リサイクル処理システムの開発
 株式会社大同テクノ 業務部 柳原 清* 山本 一

■技術開発の背景
平成13年に施行された食品リサイクル法(以下、食リ法に略)によって、生ごみ(別称=食品残渣・有機性資源・食品循環資源)は、食品を供する排出事業者の責任によって処理(20%の減容及びリサイクル)が義務付けられた。その食リ法によって社会が受ける恩恵は、生ゴミ焼却によるエネルギー消費抑制にCO2の削減と同時にダイオキシンの発生抑制、廃棄物最終処分地容量の延命、国内食料自給率(主に飼料)の向上と有機堆肥へのリサイクルにより、農林水産省が推進する「農業の自然循環機能の維持増進」と相まって、有機農産物増加によるオーガニックフードが世に広まることは、健康寿命(介護を必要としない寿命)の向上という社会環境までを意味し、これからの超高齢化社会がもたらす大きなマイナス要因を軽減させる一端を担うことが示唆される。一方では、排出事業者にとっては処理機器(平成14年度例・消滅機価格50kg/413万円・100kg/712万円)の導入をもって対処せざるほかなく、購入と管理コストに大きな経費負担を強いられる。また、廃棄物収集事業者は、食リ法に定められた20%の営業利益が確実に減少することは、処理機器が普及する事による経済効果を多大に凌ぐものである。したがって、排出事業者責任による自己処理(購入&管理コスト)の軽減と廃棄物収集事業者の利益減少を防ぎ、リサイクルによる循環型社会への貢献とその経済の円滑効果を目的とする大容量による処理コストの大幅な削減を可能にした車載型食循資源処理装置の開発を行なった。

■技術開発の内容
(1)収集(回収)先を数多く消化する事がコストダウンを図る事に直結させる事から、大容量の処理を可能にし、堆肥加工一次処理をスムーズに進行させるには、ムラなくスピーディな攪拌技術と低温殺菌域と有機質分解発酵域の加熱行程への追及と耐久性を持たせたドラムの開発。
(2)分別された食品循環資源を統一した投入用容器から攪拌ドラム内へ迅速に投入する作業性に優れた投入機の開発。
(3)堆肥加工一次処理品を排出目的地(直耕作地)において熟成させる専用短期保存パックの開発。
(4)攪拌ドラムより短時間で速やかに保存パックに投入を行なう可動式ベルトコンベアの開発。補足アタッチメント式ベルトコンベアの開発。
(5)発電機搭載による収集から排出までの作業の始業から終業までを移動する一行程で敢行させる事を可能にする制御装置の開発並びにソフトの開発。

■製品の特徴
大容量処理が出来る事により、食品を供する排出事業者の戸口にて、分別された千差万別の食品循環資源の直接収集(回収) 投入を可能にした。さらに攪拌加熱条件下にて、低中高温域で活性する土壌菌群を添加。他の雑菌に対し優勢増殖させ。各種食品循環資源の分解速度を短期間で進行させて、堆肥化への目的を達することが出来ると同時に、そのまま耕作地に運搬。有機堆肥利用者に直接届ける機動性と利便性を兼ね揃えた食品循環資源リサイクル処理システムを構築する車載型食循資源処理装置である。

■今後の展開
加賀市の廃棄物収集業者が車載型の導入を行い、システムの構築を商業ベースへ躍進させています。さらに、事業協同組合を主体に有機堆肥によって収穫された作物の販売ルートが拡大されつつあり、実証と実績を兼ね備えた商品として広く認知され、販売と更なるシステムの構築と開発の展開を目指します。



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