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■技術開発の背景 現在のCNC旋盤用チャック(工作物を把持する用具)は,油圧方式である。これには,環境負荷の高い作動油が用いられている。また,この油圧方式は,油圧シリンダが主軸に直結されているため,この熱が主軸に伝達されて,主軸温度を変動させる。主軸の温度変化は工作精度に直接的な影響を与えるので,現状のCNC旋盤における工作精度の擾乱要因の第1位は油圧シリンダの温度である。 切削過程では既に切削油不要のドライ切削技術が進展しているが,油圧機構は,工作物チャッキングのためだけに残されており,機械加工の脱油化のネックになっている。そこで,次世代型工作機械としては環境的な配慮で,完全脱油化を図るためだけでなく,安定した高精度加工を維持するためにも,油圧チャックに代わるシステムの開発はメーカ側,ユーザ側にとって大きな課題となっている。 ■技術開発の内容 今回開発したチャックシステムは,円筒とテーパを組み合わせることにより楔の役割を果たす倍力メカニズムと,これを駆動するサーボ機構の組み合わせにより,高精度芯出しと高速回転時の把持力を同時に確保できる,小型CNC旋盤用チャックシステムの開発である。図1に,開発したチャックシステム本体部の構造を示す。 (図1チェックシステム本体部分の構造) ■製品の特徴 今回の開発したチャックシステムの外観を図2に示す。その特徴は,以下のとおりである。 @環境汚染につながる作動油を用いない電気制御チャックシステムである。 A既存のCNC旋盤の構造に適応可能なメカニズム(把握力低減のないシステム)である。 B既存の油圧チャックと同等の高精度,高強力な把持力を有する。 C環境対応型の新型CNC旋盤の制御装置に対応可能なシステムである。 (図2 試作チェックシステム全体の外観) ■今後の展開 高速回転時の把持力の安定化とシステム全体の小型・軽量化,低コスト化を図り,実用性が高く,市場形成が可能な製品の開発を目指していく予定である。 |
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