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 省エネ型エアジェットルーム用おさの開発
  高山リード株式会社 加藤隆嗣*

■技術開発の背景
エアジェットルームは,生産性,汎用性が高いことから世界で広く使用されているが,反面,多量の空気を消費しランニングコストが高いことが問題とされる。コンプレッサーの電力費は織物生産コストの15%を占めており,とりわけ電力代が高い日本では競争力を低下させる一因となっている。この問題点を解消するべく省エネルギー型のトンネルリードを従来にない発想で開発した。
■技術開発の内容

サブノズルから噴射されるジェット流は,一部がリード下あごに当たって無駄となっている。ノズルと下あごの位置関係は織物品位との絡みで変更ができない。そこで従来,同一断面と決まっていたトンネル部に凹部を設けたところ,より効率的にジェット流をトンネル内に取り込むことが可能となった。しかし,凹部は同時に乱流を作るため、ヨコ糸飛走姿勢を乱す。従って最適形状を決定するには画像で姿勢や速度を観察できるベンチテストが必須であった。ヨコ入試験装置を活用する事により,短時間で変形V型という最適形状を求めることができた。

■製品の特徴
最大の特徴は既存機に特別なパーツを使うことなく,リードを交換するだけで省エアが得られることである。既に約100枚が試験に供され,概ね10〜15%の省エアを得ている。非同一断面ということから心配されたタテ筋等の品位については,生産技術の改良を重ねることにより,まったく問題は発生していない。一方,スパン製織では効果を発揮するが,フィラメント製織は稼働が不安定という問題が残っている。価格は,標準リードに対し整列組立に時間を要することから15〜20%ほど高くなるが,日本の電力代で試算すると,数カ月でメリットが出てくる。従い定番品を長く織り続けるケースで,もっとも効果が大きいという特徴がある。既に国内海外,それぞれ数社で採用されており,所定の成果を収めている。

■今後の展開
スパン織物における汎用性と省エア率のいっそうの向上を図るべく,形状や調整に改良を加えるとともに,組立工法の改善でコストダウンを達成し,幅広く採用されるリードを目指して行く。また,フィラメント織物については,デリケートな特性を考慮して従来構造を踏襲しつつ,効率のよい新形状羽を開発し,分野別にそれぞれ最適リードの棲み分けを図ることを計画している。


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