技術ふれあいミレニアム2000発表会要旨集
カキ殻の土木材料への応用
福井工業高等専門学校,中島町,七尾西湾漁協,県工業試験場
真柄建設梶C佐藤道路梶C北川ヒューテック(株) 谷口克也


■技術開発の背景
 七尾湾は日本海側では最大のカキ養殖産地で,特に七尾西湾漁協はその中の約9割を占めており,これから発生するカキ殻は毎年3〜4千トンに上っている。これまでは圃場整備事業のなかで暗渠排水部にその大半を使用してきたが,今後事業の終了に伴い,新たな用途が緊急に求められている。このような中,能登半島に多い軟弱地盤対策へ応用すべく土木材料としての検討を産学官の連携で行ってきた。

■技術開発の内容
 土木材料として"盛土材","改良材","固化材"の3項目について検討した。その結果,"改良材"及び"固化材"の用途にその可能性を見い出した。
 "改良材"としての用途はカキ殻を粉砕し,セメント等の固化材を併用し,軟弱地盤土壌と混合するものである。カキ殻は細孔構造を持ち非常に吸水性が高い。このため砂状骨材としての粒度改善効果に加え,自身が軟弱土中の水分を取り込み見掛け含水比の低減効果が大きい。土中へは30%程度の混合が可能と考えられ量的処理効果も大きい。"固化材"としての用途は,カキ殻を数cmに粉砕した後,焼成し生石灰化させるものであるが,生石灰としては取り扱い時の制約が多いため消化して消石灰としての使用用途の検討を行っている。

■製品の特徴
1. セメント等の固化材と併用することにより,路盤の支持力(CBR値)がそれぞれを単体で用いた値の総和以上に大幅に改善される。
2. 実際の現場では固化材の混合直後はまだ硬化が不十分なため含水比低下が少なく転圧が十分に行えない場合も多いが,カキ殻を混入することにより混合直後のトラフィカビリティー(改良初期の締め固め性の改善)が大きいので締め固めが容易となる。

■今後の展開
1. 粉砕粒度がCBR値に大きく影響するため,カキ殻を効率的にかつ一定粒度に粉砕する設備の導入に向けた検討が急務となっている。
2. 盛土材,改良材,固化材それぞれの特徴を生かし,複合的な使用により利用範囲の拡大を行っていきたい。

* 技術研究所 所長代理
代表者名 代表取締役  北川義信
住   所 〒921-8584 金沢市神田1−13−1
    TEL.076-243-2211 FAX.076-247-2145

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