技術ふれあいミレニアム2000発表会要旨集
視線入力装置の開発
株式会社センサ
                               中田 修


■技術開発の背景
 当社では,これまでに重度障害者用会話装置「はなしっ子」を開発し,販売してきた。しかし,重度障害者にとっては装置の機能以前に,まず,操作できることが重要である。そこで,当社では「はなしっ子」を操作するために,様々な障害に応じた各種入力装置を開発してきた。その中から本報では,視線の動きで「はなしっ子」を操作する視線入力装置「アイプット」について紹介する。

図1.視線入力装置
■技術開発の内容
 本装置は,小型CCDカメラで使用者の視線の動きを捕らえ,コンピュータ画面上の指示箇所を判別し,マウスの代替をする装置である。
 動作原理は,まず使用する前に使用者が任意の点を見たときの様子を小型CCDカメラで捕らえ,その画像の顔の位置,向き,視線方向などの情報を記憶させておく。そして使用時に,現在の小型CCDカメラで捕らえた画像と記憶させた画像をパターン比較し,現在のコンピュータ画像上の視線の位置を割り出すという手法をとっている。この機能は,動的輪郭モデル法を用いた画像追跡技術により,頭の位置がずれた場合でも位置指定精度を高めたることによって実現できた。

■製品の特徴
○従来の重度障害者用入力装置より入力時間が半減した。
○何も身につけることなく操作できる。
○安価な小型CCDカメラでも十分な精度が得られ,低価格化が実現した。

■今後の展開
 筋ジストロフィーなどの難病を中心に臨床評価を進めていき,より使い易いものとしていきたい。また,「はなしっ子」専用の入力装置ではなく,コンピュータの一般的な入力装置としての開発を進め,市場の拡大を図っていきたい。


* 主任
代表者名 代表取締役  松井和幸
住   所 〒920-0223 金沢市戸水町イ72番地
    TEL 076-266-1003 FAX 076-266-1253
         
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