技術ふれあいミレニアム2000発表会要旨集
イオンプレーティング装置の開発
フジタ技研株式会社
岡崎 健一


■技術開発の背景
 当社は長年,冷間鍛造用パンチ(図1)を熱CVDコーティング法で製造してきた。冷間鍛造時に,数十トンから数百トンの圧力がかかるため,膜の高い密着性が要求されるためである。しかし,熱CVD法は 1000℃前後の高温での処理のため熱ひずみが発生し,高精度が要求される金型等への適用には問題がある。
 そこで,低温での処理(500℃以下)が可能であるPVDコーティング法に注目し,PVDコーティングの課題であるより密着性の高い膜が得られるコーティング装置を開発することとした。

■技術開発の内容
 工業試験場と金沢工業大学(作道先生)のアドバイスを頂き,アークプラズマコーティングにRFプラズマとマイクロ波プラズマを重畳させたPVDコーティング装置を開発した(図2)。RFプラズマとマイクロ波プラズマを重畳させることにより,アークプラズマがさらに高密度・均一化するため,密着性がCVDなみに高まることを予想して装置開発を行った。

■製品の特徴
 開発した装置でPVDコーティングを施したパンチをフィールドテストした結果,他社PVDコーティングパンチに比べて,その寿命が6倍以上高く(図3),コーティング膜の性能が高いことがわかった。

■今後の展開
1. さらに密着性の高く,機能性の高い膜(複合膜等)を開発する。
2. 量産用コーティング処理装置を増設する。
3. 当社のパンチのコーティング処理を中心に初年度年間5000万円の売上を見込む。

(図1) 冷間鍛造不用パンチ
(図2) 開発したPVD装置
(図3) 開発したPVD膜の寿命比較


* 開発室 室長
代表者名 代表取締役 社長  安藤 英治
住   所 〒923-1115  能美郡寺井町大長野ト65
    TEL 0761-58-5358 FAX 0761-58-5359
     
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