■技術開発の背景
当社は長年,冷間鍛造用パンチ(図1)を熱CVDコーティング法で製造してきた。冷間鍛造時に,数十トンから数百トンの圧力がかかるため,膜の高い密着性が要求されるためである。しかし,熱CVD法は
1000℃前後の高温での処理のため熱ひずみが発生し,高精度が要求される金型等への適用には問題がある。
そこで,低温での処理(500℃以下)が可能であるPVDコーティング法に注目し,PVDコーティングの課題であるより密着性の高い膜が得られるコーティング装置を開発することとした。
■技術開発の内容
工業試験場と金沢工業大学(作道先生)のアドバイスを頂き,アークプラズマコーティングにRFプラズマとマイクロ波プラズマを重畳させたPVDコーティング装置を開発した(図2)。RFプラズマとマイクロ波プラズマを重畳させることにより,アークプラズマがさらに高密度・均一化するため,密着性がCVDなみに高まることを予想して装置開発を行った。
■製品の特徴
開発した装置でPVDコーティングを施したパンチをフィールドテストした結果,他社PVDコーティングパンチに比べて,その寿命が6倍以上高く(図3),コーティング膜の性能が高いことがわかった。
■今後の展開
1. |
さらに密着性の高く,機能性の高い膜(複合膜等)を開発する。 |
2. |
量産用コーティング処理装置を増設する。 |
3. |
当社のパンチのコーティング処理を中心に初年度年間5000万円の売上を見込む。 |
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(図1) 冷間鍛造不用パンチ |
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(図2) 開発したPVD装置 |
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(図3) 開発したPVD膜の寿命比較 |
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