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使用した3つのシステムの概要を表1に示す。また,図1に開発プロセスと使用したシステムを示す。以下,この開発プロセスに沿って,その内容を述べる。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
表1 システムの概要
![]() 図1 開発プロセスと使用システム |
(1) | 測定部とデータ処理・表示部の一体化 |
(2) | 使いやすさの向上 |
(3) | 親しみのある外観デザイン |
(1) | 小型で足を挿入しやすい形状にする。 |
(2) | 足の挿入方法や踵を固定する位置を示唆する形状にする。 |
(3) | 足を入れながら操作しやすい位置に操作パネルを配置する。 |
(4) | 操作中に見やすい位置に小型モニタを配置する。 |
(5) | 競合商品と差別化を図る個性的なデザインにする。 |
(6) | 運びやすい形状にする。 |
内部部品と干渉しない筐体形状を設計するため,三次元CADシステムを用いて,部品の形状入力と組み付けを行った。そして組付け部品をガイドに,決定したデザイン案に基づく筐体の形状入力を行った(図2)。この際,三次元CADシステムの利用により,内部部品のレイアウトの変更や筐体との干渉チェックが容易になり,内部部品と干渉しない筐体設計が短期間で行えた。 | ![]() 図2 三次元CADによる筐体の設計 |
設計した筐体デザインの検討を行うため,三次元CADシステムで作成した形状データを三次元CGシステムに取り込み,素材感や色彩,ロゴマークの張り付けを含む外観デザインのシミュレーションを行った(図3)。その結果,筐体のエッジが鋭く感じられ,エッジをより緩やかにする設計修正が必要となった。そこで三次元CADシステムに戻り,形状の修正と再度干渉チェックを行った。 | ![]() 図3 CGによるデザインシミュレーション |
(1) | 筐体形状に関するもの ・測定部が深い位置にあり,足の挿入に不安を感じる。 ・足の挿入位置が高く,座った状態で足を入れづらい。 |
(2) | 測定方法に関するもの ・足のサイズが,特に大きい人や小さい人の測定値に誤差が生じやすい。 ・左足による測定が行えない。 |
(3) | 操作性に関するもの ・操作キーの表示と配列が悪く,操作手順が分かりにくい。 ・足を挿入した状態で操作キーが押しづらい。 |
(4) | 表示方法に関するもの ・表示に用いる小型モニタが小さく見えづらい。 ・見る角度によって,文字が見えづらい場合がある。 |
(5) | デザインの印象に関するもの ・CG画像で確認した印象より,ボリューム感が大き過ぎる。 ・医療用具として,見た目の清潔感が足りない。 |
(6) | 運搬性 ・重く,手がかりもないので,持ちづらい。 |
(1) | 筐体形状の小型化 問題点の多くは,筐体形状が大き過ぎることが原因と考えられた。そこで小型化を図るために,内部部品の再選定を行うとともに,三次元CADシステムを利用して,各部品のレイアウトと筐体形状について再考した。その結果,小型部品の選定,コンパクトな部品レイアウト,筐体形状の変更等によって,筐体容量を60%に減少することができた。 |
(2) | 測定方法の改善 装置の足受け部分を付け替え可能な別部品にし,ユーザの足サイズに合わせた部品を使用することで,足サイズの違いによる測定誤差をなくした。また,形状を対象形にすることで,左足の測定が可能になった。 |
(3) | 操作性の向上 操作手順に沿ったキー配列と表示に改良するとともに,操作性の良いフラットパネル仕様に変更した。 |
(4) | 表示方法の改善 測定中の動作範囲の視点から,小型モニタが平均して見える角度や位置に修正した。 |
(5) | デザイン形状の改善 親しみが得られるデザインにするため,全体的に丸みを帯びたデザイン形状に変更した。また,清潔感を持たせるため,筐体色を前回の青から白に変更し,筐体下部と足受けの部分に木材を使用した。この際,親しみのある筐体色を選定するため,色の違う数種類のCG画像を用いてアンケート調査を行った。 |
(6) | 運搬性の向上 筐体の小型化に伴い,重量が軽減した。さらに筐体両側に小型の取手を付けた。この際,持ちやすい取手の位置や形状の検討を光造形モデルを用いて検証した。 |
改善設計に問題点が生じていないか,試作を用いて検証した後,展示会に出品した。 (いしかわ情報システムフェア2000)その結果,前回の問題点は解消され,ユーザからも高い評価を得ることができた。(図4) 現在,この装置は医療用具として申請を行っており,2001年3月に発売予定である。 | ![]() 図4 最終試作 |
(1) | 三次元CGシステムによるデザインシミュレーションや三次元CADシステムによる干渉チェックよって,装置の設計が合理的に行えた。 |
(2) | 設計した三次元データを光造形システムを用いて,迅速に試作することによって,実物モデルを用いた使いやすさの検討が容易になった。 |
(3) | 3つのシステムを連携して用いることによって,設計,試作,改善の工程が大幅に合理化できた。 |
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