| |
![]() | |
| |
![]() |
2 内 容 シールド効果の解析は,材料の電気定数を理論式に導入することにより求められる。これは,製品の設計段階で効果の予測をたてることが可能であるため有効な手段である。ここでは,図1に示すような無限大平板のシールド材に対する解析を行った1)2)。座標原点よりz=h0の位置に電気ダイポール波源を設定し,波源と観測点との距離をRとする。ダイポール軸はシールド材に対して,水平(X)方向を想定する。シールド材上部では直接波と反射波があり,シールド板下部 では下降波(透過波)のみが存在する。解析に際し,波源位置は固定し,観測点は任意位置に移動が可能とする。解析にあたり,表1に示す材料の電気定数を用い,厚みt=0.1mmとした。 2.1 周波数特性 図1の解析モデルで観測点位置をz軸上とし,h0=0.5m,d=1mで,3種類の材料についてシールド効果の周波数特性を解析した。結果を図2に示す。また,シェルクノフの式より求まる遠方領域のシールド効果3)も同図に示す。ダイポール波源から観測点までの距離d=1mでは周波数が約48MHz以上において遠方領域(=波長/(2π))とみなせる。図2よりこの周波数領域以上において,本手法より求めた結果がシェルクノフの式から求めたシールド効果とよく一致しており,本手法の妥当性が検証できた。また,近傍領域でシールド効果を検討する場合,シェルクノフの式から求まる結果と異なることが確認できた。 |
![]() |
|||||||||||||||
図1 解析モデル | ||||||||||||||||
表1 材料の電気定数 | ||||||||||||||||
|
||||||||||||||||
εr:比誘電率 μr:比透磁率 σ:導電率 |
![]() |
![]() |
図2 シールド効果の周波数特性 | 図3 波源と観測点位置によるシールド効果 |
(1) | 電気ダイポール波源を考慮したシールド効果を解析的に求めた。その結果,遠方領域においてシェルクノフの式とよく一致しており,本手法の妥当性が確認できた。 |
(2) | 近傍領域におけるシールド効果は一意には決まらず,観測点位置により異なるという結果が得られた。従って,材料の特性としてシールド効果を表現する場合は,観測点位置を明示しなければならないことがわかった。 |
1) | 長野勇:不均質媒質中の電磁波伝搬,朋友印刷(株),p.12-42(1997) |
2) | 吉村慶之,長野勇,横本広章,大浦利夫,八木谷聡:電気ダイポールの任意位置における多層媒質のシールド効果,信学技報,EMCJ99-127,p.105-112(2000) |
3) | 清水康敬,杉浦行:電磁妨害波の基本と対策,(社)電子情報通信学会,p.56-77(1995) |
|
|