はんだ付け条件の最適化や品質評価を支援 ―はんだ付け性評価試験システムの活用事例を紹介―

 鉛フリーはんだ(錫-銀-銅)については、含有する銀比率低下によるコスト削減やハロゲンフリーフラックスの使用による環境規制への対応が進められています。その際には、はんだ付け条件(設定温度等)の最適化や電子部品の保管期間による品質劣化等の評価が必要です。これらの評価には、はんだ付け性評価試験システムを用いたはんだぬれ性評価が有効です。これは、JISC60068-2-20及び69に基づき、電子部品端子の溶融はんだ槽への浸漬と引き上げの過程で生じるぬれ力の時間変化を計測するものです(図上参照)。

 ここでは、県内企業の材料変更した電子部品端子の経年(長期保管)による品質劣化(酸化)をぬれ性で評価した事例を示します。一般にゼロクロスタイム(試料を浸漬してぬれ力が負から0に戻るまでの時間)が短い程、ぬれ性は良いことを表します。従って、図下に示すように、端子は保管時間が長い程ぬれ性は悪くなることが分かります。今回のはんだ付け条件ではゼロクロスタイムの許容値3秒以内と酸化の影響は許容範囲内であることも確認できました。この結果は、県内企業が部品保管をする上での指標作りに生かせました。

 工業試験場では、電子部品端子等のはんだ付け条件の最適化や品質評価を支援しています。ぜひご利用ください。

 


はんだぬれ性評価の事例

 

担当:電子情報部 筒口 善央(どうぐち よしてる)

専門:電子材料

一言:短時間で電子部品の酸化影響を評価できます。