腐食の予防・防止策に新たな分析方法  ―燃焼イオンクロマトグラフによる腐食原因成分の分析―

 鉄鋼・非鉄部材などで錆が発生した場合、原因を突き止めることが防止策を講じる際に重要となります。錆の発生は環境条件に起因する他、製造工程で使用する水・洗浄液・切削油等に含まれる塩素、硫黄等が原因となるため、これらの成分分析が必要です。このような分析には、イオンクロマトグラフが活用できますが、これは水のみに有効で界面活性剤を含んだ水溶液(洗浄液等)や、非水系溶液(有機溶媒、油等)については分析出来ませんでした。

 工業試験場に新たに導入されたイオンクロマトグラフは、燃焼部を備え、試料燃焼時に発生する燃焼ガスを水に吸収させて非水系溶液等を分析します。

 これまでに、ステンレス鋼における応力腐食割れの原因調査に本装置を用い、従来は不可能であった洗浄液の分析を行いました。その結果、この洗浄液には水道水の100倍程度の塩素成分が含まれていることが判明し、別の洗浄液に変更することにより、腐食防止ができました。

 本装置は、このように腐食の原因調査や予防・防止に活用できる他、はんだなどの電子材料中のハロゲン分析にも有用ですのでご活用ください。


燃焼イオンクロマトグラフ

 

担当:化学食品部 嶋田一裕(しまだ かずひろ)

専門:分析、表面科学

一言:腐食対策にご活用ください。