屋上緑化多孔基盤の開発を支援  ―染色工場の余剰汚泥をセラミックス多孔基盤に活用―

 都市の気温が夏季に高くなるヒートアイランド現象の対策に屋上緑化が有効です。これまでに小松精練(株)(能美市)、(株)トーケン(小松市)、(株)アースエンジニアリング(金沢市)の3社は共同で、染色工場の余剰汚泥を5〜10%配合した多孔基盤に土壌を吹付け、植裁した緑化材の開発に成功し、販売しています。

 平成21年度から工業試験場はこのグループと連携し、産廃となる汚泥のリサイクル率をさらに高めるため、配合を30%に増量した多孔基盤とこれを利用した緑化材の開発を進めました(経済産業省:地域イノベーション創出研究開発事業)。この開発において工業試験場は、原料配合の決定や物性評価を担当しました。

 試作した30%配合多孔基盤は、汚泥によるミクロな気孔とスポンジ形状のマクロな気孔が多く、保水、透水、蒸散、植物の活着性や断熱性に優れています。また、従来の10%配合多孔基盤に比べて薄くでき、軽量化が図られました。今後、多孔基盤のさらなる強度向上により、用途の拡大を進めていきます。


汚泥を配合した多孔基盤と緑化材

 

担当:化学食品部 北川賀津一(きたがわ かづいち)

専門:無機材料工学

一言:リサイクル製品の開発で環境資源の有効活用を図ります。