食器洗浄機対応漆器を開発  ―洗浄機で洗える漆塗り椀―

 漆器(漆塗りの食器)は、熱水で塗膜の色が変わったり、剥離等が生じるため、業務用食器洗浄機で洗浄してはいけないということがこれまでの常識でした。

 工業試験場では、無機物のナノ粒子(約10万分の2 mmの超微粒子)を利用して、洗剤や高温の熱水のものでも漆特有の黒色が変わりにくい、食器洗浄機に対応した漆を研究開発しました(図1)(科学技術振興機構・重点地域研究開発推進プログラム)。開発した漆の塗りサンプルを業務用食器洗浄機で4000回(1日3回使用して約3年半に相当)試験した結果、従来の黒漆が黒色からこげ茶色に変わったのに比べ、開発した漆は見た目では黒味がほとんど変わりませんでした。

 現在、(株)能作と食器洗浄機対応漆器の開発を進めており、試作した漆椀を「いしかわ伝統工芸フェア2010」(東京)に出展しました(図2)。


図1 洗浄に強い黒漆の開発


図2 食器洗浄機対応漆器の試作展示

 

担当:機械生活部 梶井紀孝(かじい のりたか)

専門:漆器製造、工業意匠

一言:工芸品の開発に関するご相談・ご依頼をお待ちしております。