メソポーラスシリカを使った濃縮材料の開発  ―簡易な現場分析の高感度化を目指して―

 地球環境の保全のために、生活環境(土壌など)や工業製品(電子部品など)に含まれる鉛などの微量有害物質の濃度規制が、近年厳しくなっています。この背景のもと、有害物質を高感度に分析する要求が高まっています。

 工業試験場では、メソポーラスシリカを使って、鉛を高感度に分析できる濃縮材料を開発しました。メソポーラスシリカとは、数ナノメートル(1メートルの10万分の1)の細かな穴を多数持つ珪素質の物質です。表面積の大きい細孔表面を処理し、鉛を効率よく吸着できるようにしました。この材料に原液中の鉛を一旦吸着させ、ごく少量の酸性液に再び鉛を溶かし出し、濃縮液を作ります。鉛の濃度が高い濃縮液を分析することで、分析感度が向上します。

 これまでの研究で、鉛の濃度を100倍に濃縮することができました。また、鉛以外の有害物質にも応用が可能です。今後は、本成果の実用化に向け、県内企業への技術移転を図っていきます。

 


濃縮材料を使った鉛の高感度分析(イメージ図)

 

担当:化学食品部 笹木哲也(ささき てつや)

専門:分析化学、食品化学

一言:分析化学で県内産業を支援します。