軸受銅合金鋳物の鉛フリー化  ―環境にやさしい建設・産業機械の実現を目指して―

 近年、電子・電気機器に対するRoHS指令、ELV(End-of-Life Vehicle:使用済み自動車)規制など、各種工業製品に含まれる鉛やカドミウムをはじめとする環境負荷物質の含有を禁止・減少させる動きにあります。

 銅合金鋳物は、耐食性に優れていることから給水栓やバルブ、摺動部材として広く使用されていますが、その中に含まれる鉛は、耐圧性や摺動特性を向上させる主要元素であるため、各種環境規制に対応する代替材料開発が急務となっています。給水栓用途の銅合金鋳物は、平成15年より実施された新水質基準に対応して、平成18年に4種類の鉛フリー銅合金がJIS規格化されましたが、軸受用途では自主規制段階にあることから、実用的代替合金がないのが現状です。

 工業試験場では、経済産業省の平成18年度戦略的基盤技術高度化支援事業の研究委託を受け、日本非鉄金属鋳物協会(東京都)の銅合金技術部会と共同で、建設機械や産業機械用途の環境対応型軸受銅合金鋳物の材料開発に取り組んでいます。

 固体潤滑性に富んだ非金属晶出相や耐焼付性が高い金属組織への制御等の材料設計を行うことで、潤滑状態が低下した環境下でも高速・高面圧の摺動に耐えうる鉛青銅の代替合金開発を目指します。


新規鉛フリー銅合金の開発フロー

担当:機械金属部 舟木克之(ふなきかつゆき)

専門:金属材料、材料強度、破面解析

一言:金属材料の高機能化、部品の破損対策から生産技術上の問題解決まで、技術で困った時にはご相談ください。