熱画像装置(サーモグラフィ)  ―生物、無生物など種類を問わない温度分布測定―

 熱画像装置は、物体から放出されている赤外線を検出することにより、非接触で温度分布を測定することができます。そのため、危険で近付きにくいもの(溶鉱炉など)や静止していないものの温度も測定することができます。これを利用して、(1)電気製品のショートなどの異常発熱箇所の特定、(2)プラスチックの射出成形の温度管理、(3)変電設備の異常高温箇所の検査、(4)スポーツ用冷却スプレーの効果実験など、故障解析や製品開発に利用されています。

 工業試験場に導入されている熱画像装置は、マイナス20℃から1500℃までの温度分布(分解能約0.1℃)を、毎秒60フレーム、320×240ピクセルで記録することができます。また、画像内の任意の箇所の温度変化も調べられます。

 下図に(株)タカノ(加賀市)の「ふぃっと椀」に熱湯を注いだときの熱画像と温度変化グラフの例を示します。グラフ右側の温度スケールの青い方は低温、赤い方は高温を表しています。熱湯を注いだときの温度変化は、A、Bの各箇所で異なり、また、他社製品と比較すると、120秒後に椀下部の温度に大きな差があることが分かりました。

 本装置は、分野を問わずご利用いただけます。従来、苦手だった金属も測定可能な場合がありますので、どうぞご相談ください。


熱湯を注いだお椀による例(試料提供:(株)タカノ)

担当:電子情報部 奥谷 潤(おくたにじゅん)

専門:光電材料、電子デバイス

一言:赤外線だから見えることがあります。電気関連のみならず、ご相談ください。