近年のエコ志向により、天然繊維等を用いた繊維製品が消費者に多く選ばれ、石川県の繊維業界でも、合繊とセルロースなどの天然素材を複合した製品の開発が進んでいます。しかし、合繊と天然繊維の性質の違い等により染色性や加工性に問題が発生しています。
繊維素材の物性や染色性は内部構造が大きく影響するため、加工による構造変化を把握する必要があります。しかし、セルロース等の天然繊維は構造の小角領域の回折像が捉えにくく、また熱的変化が少なく融解挙動が確認できないなどことなどから、その構造を十分に評価できません。
本研究では、天然繊維が持つ微細孔(空隙)に着目し、その孔の加工条件による変化から、間接的に構造変化を推測する方法を検討しました。具体的には、高速液体クロマトクラフィーを用いた繊維内の細孔評価と、示差走査熱量計によって吸着された繊維内の水の熱挙動を評価することで、セルロース系繊維(レーヨン繊維と綿繊維)の構造の評価と高圧処理による構造変化について検討しました。
その結果、高圧処理よるレーヨン繊維や綿繊維の孔状態の変化が明確となりました。
今後は、この評価方法を染色性や加工性の違いで発生する欠点解析や新製品の評価に応用する予定です。 |