VR技術を利用してデザイン開発
−製品開発の迅速化−

 製造業では、製品開発を迅速に行うため、三次元CAD等のコンピュータの利用が進んでいます。工業試験場では、三次元CGやCADデータから実物モデルを作製する光造形システムや切削加工装置等を導入し、試作開発の迅速化を支援してきました。
 しかしながら、これらの装置では作製できない大型製品への対応が求められており、その対策として、バーチャルリアリティ(VR)技術が注目されています。自動車メーカでは、実物の大きさでデザインを検証するために、三次元CGで作成されたリアルタイム画像を大型スクリーン上で立体視するVRシステムが使われています。またパーソナルコンピュータの高性能化により、低価格のVRシステムが開発され始めており、企業での活用が一段と進むと考えられます。
 このため、工業試験場では、平成15年度から北陸先端科学技術大学院大学、県内メーカと連携して「バーチャルリアリティ技術を利用したデザイン開発研究会」を設け、工作機械、健康機器、建築、建具、パーティションメーカのデザイナーや設計担当者が、VRシステム「CAVE」を用いて、自社製品の開発におけるVR技術の活用方法について検討を行ってきました。(図1、図2参照)
 この結果、以下の開発分野で、製品試作の短縮化やプレゼンテーションの高度化が図られ、製品開発の迅速化に繋がることがわかりました。

〈工作機械・健康機器の開発〉
 ・設計者グループでの基本設計の確認
 ・取引先と仕様の打ち合わせ
〈建築物の設計〉
 ・建築デザインのプレゼンテーション
〈パーティション・建具の開発〉
 ・製品ショールームとしての利用
 しかし、パーティション、建具等のインテリア製品の開発では、製品に使用する布地、塗装、木材等の素材感がデザイン開発の重要なポイントとなるため、現状では実物素材の質感をシミュレーションできる技術の開発が課題となっています。
 このため、素材の質感を三次元CGで、高精細かつリアルに表現するVR技術について研究を行い、県内企業の新製品開発を支援する予定です。


図1 北陸先端科学技術大学院大学のVRシステム   図2 建築空間のシミュレーション


 
担 当 繊維生活部 梶井紀孝 (かじいのりたか)
専 門 工業デザイン、三次元CG、迅速試作加工技術
一 言 コンピュータを用いた製品試作について、お気軽にご相談下さい。



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