場長就任にあたり
−サービス機関の原点に立って−

 工業試験場が金沢市米泉町から現在地に移転し、今年8月で丸20年になります。
 昭和56年から県内産業の高度化等に対応するため、工業試験場、指導機関、業界団体等を集積し産業振興の拠点づくりということで、一体的に整備されてきました。私、59年に初めてこのゾーンに配属されてから今回で4回目になりますが、現在、工業試験場、地場産業振興センター、鉄工会館、繊維会館、ソフト研修開発センターの施設が整備され、その中で約400人が働いております。また、周辺地域は区画整理事業が進展、この1月から県庁の移転もあり、当時シベリア街道と呼ばれた道路もよくなり、風景も様変わりの状況になりました。
 産業界はバブルの崩壊後、グローバル化の進展、産業の空洞化やデフレ経済の下で厳しい状況が続いています。統計数字でこの20年間の推移を見ると工業出荷額は1兆5422億円から2兆5687億円と増加しているものの、事業所数は15,009から9,870、従業者数も130,648人から115,328人と減少しており、改めて厳しい数字に驚くばかりであります。
 これまで、工業試験場は業界ニーズに対応して研究開発、技術指導、試験分析の3分野を柱に、専門研究員の配置、機械設備・計測機器等の更新・設置、研究開発テーマの選択等に取り組んできたところであります。
 特に、昨年から製造業の振興は「モノづくり」であるとの観点から、企業の企画提案力、商品開発力を強化してもらうために、実験棟の一部を改修し、モノづくり支援センターとして開放することとしました。機械設備や計測機器を取り揃え、機械・繊維・食品関係分野の設計・試作品から生産・製品の評価までできる一貫体制としました。今年はさらに、電子関係分野を中心に整備・充実をしていく予定です。
 また、県内企業の国際化に対応して、12年度から国際試験所認定の取得を進めており、これまで繊維製品・高分子材料・金属材料分野の引っ張り等試験の認定を受けましたが、さらに今年は鉄鋼材料分野の化学試験の認定を目指しております。
 21年目を迎えるに当たり、職員全員が試験研究機関としての役割はもとより、改めてサービス機関の原点に立ち、産業界の発展に少しでも役立つよう、鋭意努力を行う所存でございますので、従来にもましてご支援、ご協力をお願いいたします。


場 長 有田良児(ありたよしじ)



トップページ

技術ニュース

次のページ