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2.4GHz帯短縮ダイポールアンテナを使用した無線モジュールの開発

■(株)横山商会 開発本部 製品開発センター 北崎 裕

■技術開発の背景
 近年,身近な環境負荷をいかに減らすかということが大きなテーマとなっており,評価のための数値データを得る手段や,機器制御の方法がいろいろ検討されています。
 その中で,「データ通信を無線で行うこと」ができ,なおかつ,「その機器自体も低消費電力であり小型化されているもの」が「安価」にできれば,積極的に使って頂けるのではないかと判断し,研究・開発に着手しました。
 開発に関わる様々な技術的課題のなかでも,「限られた実装面積で,機器間の通信距離をできるだけ延ばし,安定した通信ができるように工夫する」が大きなテーマでした。

■技術開発の内容
 そこで,いくつかのアンテナ形状と整合回路を設計しつつネットアナ等で実測しながら調整を行っていたのですが,実際のアンテナ特性を測定することは困難でした。そのため工業試験場の電波無響室をお借りすることで電波特性を計測し,アンテナの整合回路調整と実装のチューニングを行い,ご指導を頂きながら開発を進めていきました。
 アンテナ形状のいくつかの選択肢の中で,開発した「短縮ダイポールアンテナ」は,特性の安定性が良く整合回路もシンプルで済み,今回の課題解決には適当なものとなりました。

■製品の特徴
・400mの通信距離が可能(環境により影響を受けます)
・全方位ほぼ均等な指向性(アンテナ鉛直設置,水平面)
【アンテナ周りの設計手法は,現在特許出願中です。】
・最大255台のネットワークが構築可能
・最大254台の中継が可能
・動き回る機器への対応が容易
【通信プロトコルの工夫点は,現在特許出願中です。】
・バッテリー駆動で10年の稼働が可能(条件によります)
・制御は,標準的なUARTコマンドで可能
・サイズは,30×25mmの小型モジュール

(開発した無線モジュール)

■今後の展開
 いくつかの展示会に出展し,様々な業種の方々からアイデアを頂く機会が得られました。その結果,
・福祉介護機器/施設への応用
・工場内のシーケンサ制御などのFA機器制御や,作業員との通信手段への応用
など,様々な方面へ展開できる可能性を秘めた製品になっているようです!
 今後,用途に応じた最適な無線モジュールとソフトウェアの提供ができるように,ラインナップの充実と開発を行っていきたいと思っています。