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研究の背景 一般に合繊長繊維織物の製織準備工程には,ボビン繰,撚糸,整経などの工程があり,それぞれの工程で製織の目的や糸の種類に応じて,糸に一定の張力を作用させる必要がある。従って,一般に製織準備工程でよく用いられている重りなどによる糸に摩擦力を与える張力管理は十分な制御手段とはいえず,そのためしばしば,織物欠点の発生原因となってきた。そこで,ヒステリシステンサを応用した張力テンサを考案し,これと張力センサ,コンピュータで構成される張力制御システムを製織準備工程の一つである部分整経工程に用いることを検討した。 研究内容 (図1 張力制御システム) (図2 張力制御結果) 本研究の実験に用いたハードウェアシステムを図1に示す。これは,張力センサ,張力テンサ及びコンピュータで構成され,たて糸は張力テンサ,張力センサの順に通過して整経ドラムに捲き取られる。制御手法にファジィ制御を用い,測定張力値と設定張力値との差及び単位時間あたりの張力変化量を入力とし,張力テンサのモータ制御電圧を出力として,2入力1出力の3種のメンバーシップ関数で演算を行った。 開発したシステムの過渡特性を調べた結果,図2より,従来手法と比較して部分整経機の運転直後,多少の変動が見られるものの,約7sで設定張力値20cNに達し,安定した状態を持続しながら,制御精度は時間とともにさらに上昇していることがわかる。 研究成果 (1)ヒステリシステンサを応用した張力テンサを考案し,これと張力センサ,パーソナルコンピュータからなるシステムにファジィ制御を応用した張力制御システムを構成し,その効果を調べた。 (2)考案した張力制御システムは,従来手法と比較して設定張力値により近い値で制御可能となり,糸速度の影響を受けにくい。 (3)部分整経機の運転開始直後等の過渡特性において,考案した張力制御システムは,従来手法と比べ早く設定張力値に合わせることができ,その後の安定性も優れている。 論文投稿 日本繊維機械学会誌. Vol.58, T8-11, 2003. |
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