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 微量アクセプターを添加したPZT圧電セラミックスの圧電特性と構造特性
  北川賀津一* 山名一男* 中村静夫* 北川和夫** 山本孝***
    *化学食品部 **金沢大学 ***防衛大学校

研究の背景
 近年,圧電トランス,圧電アクチュエータや超音波モータなど圧電共振振動を用いたハイパワー用PZT圧電セラミックスの需要が増加している。ハイパワー用途のPZTセラミックスでは,電気機械結合係数(k31,k33等)と機械的品質係数(Qm)がともに高く安定している必要がある。本研究では,PZTにアクセプターを微量添加し,圧電特性,結晶構造と微構造を調査した。

図 各種添加剤の添加量と等価回路係数(R)

研究内容
 PZT原料粉末1molに対してアクセプター添加元素としてMn,Fe,Co,Ni を0.0025~0.05mol金属酸化物として添加した。添加方法はボールミル混合法によった。
 原料粉末はプレス成形した後に,電気炉で1260℃で焼成した。PZT焼結体は研削,切断を行い所定の寸法に加工した。機械加工後電極を焼き付け,分極,エージングを行った。
 圧電特性は日本電子材料工業会標準規格EMAS-6100に準じてインピーダンスアナライザーで測定した。矩形状振動子の伸び振動の共振・反共振ピークを検出した後,k31とQm及び等価回路定数(L,C,R)を求めた。アクセプターではMn,Fe添加で高いk31とQm値が得られた。上記添加の場合添加量を0.01mol以上とすると圧電特性値が急激に低下した。圧電的共振振動部分のCとLの変化と比較して,アクセプターの種類と添加量によってRの変化量は図1に示すように非常に大きいことがわかった。

研究成果
(1)k31は0.0025〜0.01molのアクセプターを添加した場合に,Qmは0.005〜0.01molのアクセプターを添加した場合に最大となった。
(2)MnO2添加では0.0025〜0.01mol%の添加範囲でc/a比はほぼ一定であった。他のアクセプターでは0.005〜0.01mol以上の添加でc/a比の低下がみられた。
(3)c/a比が大きくなり等価回路定数のRが小さくなると,Qmとk31は大きくなった。
(4)SEM観察よりアクセプター添加では,0.005〜0.01mol以上の添加から粒成長が進んだ。粒成長が進行するとQmとk31が低下した。

論文投稿
 粉体粉末冶金協会 2000 Vol.47 No.9 p.935-940



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