全文 (PDFファイル:60KB、1ページ)


 エアジェットルームの変形おさよこ糸通路における空気流れ
  新谷隆二* 岡島厚**
    *繊維部 **金沢大学工学部

研究の背景
 エアジェットルームのよこ糸搬送方法の中で,変形おさ補助ノズル方式が,高速化および広幅化に有利であるため,よこ糸搬送方法の主流となっている。この方式のよこ糸挿入時における糸の飛走状態には,メインノズルと補助ノズルからの噴流はもとより,変形おさにおける空気流れが密接に関係している。そこで,よこ糸挿入時のよこ糸の通路における空気流れと糸の飛走状態との関係を解明する必要がある。

研究内容

図 最大速度の位置
 変形おさ背面や前面への漏れ状態が,よこ糸通路である変形おさ溝部の空気流れに及ぼす影響を明らかにするために,漏れ状態を変化させて変形おさ溝部内空気速度の詳細な測定を行うとともに,一端固定したよこ糸先端位置の変化について調べた。
図(a)と(b)は,おさ内の最大速度点のY座標値ymおよびZ座標値zmを示す。図(a)から,Y方向の変形おさ内の最大速度位置ymはX<60mmでは空気漏れの状態に依存せず下あご側であり,自由噴流軸とかなり異なっていることが分かる。X=70mmからX=80mmで下あご側から上あご側へ移動し,X>80mmでは,背面からの空気漏れを遮断することによりymが下あご側に移動している。図(b)のZ方向最大速度位置zmは,X>80mmでは,おさ溝部からの空気漏れの状態にほとんど依存していない。X<80mmでは,Y方向に比べれば,補助ノズル自由噴流軸に近い最大速度位置であるが,背面カバーした場合,zmがおさ溝底面にX=30mm付近から移動している。
よこ糸先端の飛走位置を観察したところ,よこ糸先端は,およそX=35mmでよこ糸通路内での位置を変化させており,図中に示した自由噴流軸に対応していると考えられる。なお,両面カバー付きの場合,よこ糸通路内の圧力が上昇し,変形おさ溝部から外側へ向かう空気流が強くなり,よこ糸が溝部から吐き出され,よこ糸先端位置の観察は不可能であった。両面をカバーした状態のおさ溝開口部以外への漏れがない場合には,よこ入れが不可能であると推察される。

研究成果
よこ糸通路内の速度分布とよこ糸先端位置との関係について調べた。その結果,次のような結論を得た.
(1)変形おさの溝底面に達するまでの補助ノズル噴流の最大速度位置は,直線的ではなく,変形おさの下あご形状に沿って移動する。
(2)補助ノズル噴流の最大速度位置は,X=80mmで変形おさ溝部上あご面に達するが,よこ糸通路内の最大速度および流量の最大はX=50mmにあり,また背面への漏れ流量もX=50mmで最大となる。

論文投稿
 日本繊維機械学会 2001 Vol.54 No.1 T9-T16



* トップページ
* 研究報告もくじ

概要のページに戻る