技術ふれあい '99 新製品開発事例発表要旨
香気性酵母の味噌への応用 |
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■技術開発の背景
近年、味噌の嗜好も多様化、高級化が進み、伝統的な中にも風味に優れた製品の開発が望まれている。特に、香りは色、味とともに味噌の品質を決定し、他の製品との差別化を図る上で重要な要素の一つである。味噌の醸造過程において、酵母が各種香気の生成に重要な役割を果たしていることから、芳香性の高い酵母を育種し、応用することにより、個性的な製品が開発できるものと考えられる。
■技術開発の内容
味噌ではイソアミルアルコール、n-ブタノール、イソブタノール等の高級アルコールが香気に重要な役割を果たしている。石川県工業試験場では、これらの高級アルコールを多く生成する香気性酵母の育種に成功した。
1)まず、小仕込試験(5kgスケール)で味噌の香気向上を確認した。
2)次に、実用化規模(2.8tスケール)での検討を行った。
[1]香気性酵母を添加した味噌は、従来の当社製品と比較して、イソアミルアルコール及びイソブタノールを10倍以上、n-ブタノールをも含み、高級アルコール量の増大が認められた。
[2]官能評価でも、従来製品に比べ香りの評価が高かった。
3)以上の結果より、石川県工業試験場開発の酵母が味噌の香気向上に効果があることが明らかとなった。当社では、芳香と高級感をアピールするため、吟醸酒にちなんで「吟醸味噌」と名付け、平成10年9月に商品化した。
■製品の特徴
[1]高級アルコールを多く含み、さっぱりとした香りと独特の味わいがある。
[2]石川県産大豆、米及び石川県工業試験場開発の酵母を使った無添加味噌である。
(平成11年3月石川県ふるさと食品として認証)
■今後の展開
[1]品質の安定化を図る。
[2]フラノン化合物の味噌香気への寄与等を検討し、さらに良い香りの味噌を追求する。
代表者名:代表取締役 山本 勝美
住所:〒920-0331 金沢市大野町4丁目イ170
TEL 076-268-1248 FAX 076-268-1242