技術ふれあい '99 新製品開発事例発表要旨
繊維縫製品・裁断屑等の固形燃料化システムの開発(YES方式) |
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| 有限会社石川アースエンジニアリング |
| 代表取締役 大西 和弥 |
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■技術開発の背景
廃棄物を熱エネルギーとして再利用すると同時に、環境への負荷の少ない燃焼方法を確立することが急務となっている。
繊維業界では排出される廃棄物として、糸屑や紙管の他に縫製品や裁断屑も考慮に入れる必要がある。
石川県工業試験場繊維部では、織物工場から排出される糸屑と紙管を混合して固形燃料を製造し、無公害燃焼する研究に取り組みこれを実用化した。今回、繊維部の指導のもとで新たな課題として「繊維縫製品・裁断屑等の固形燃料化システムの開発」を進めてきた。
■技術開発の内容
固形燃料化システムは破砕・混合・成形の3工程から構成されるが、織物や縫製品は糸屑等に比べ強度が高く、連続的な破砕を行うために全く異なる破砕条件の把握が必要となった。また、紙類等のバインダーを使わず合成繊維のみで成形を行うために、成形機主要部品の形状や温度・加水制御にいたるまで新たな条件把握が必要となった。最適条件は、処理対象品を実際に破砕・成形することにより実験的にもとめられた。
破砕については、2種類の方式を組み合わせることにより連続的な破砕を可能とした。
また、成形においてはダイスの絞り率を工夫し、さらにダイスの温度及び駆動部の電流負荷を制御要素に取り入れることによりシステムを構築した。
■製品の特徴
YES(ヤギ・エコサイクル・システム)方式は、主として回収した使用済みのユニフォームを固形燃料化するシステムである。処理対象物の素材としてはポリエステルが約65%、その他は綿もしくは麻となる。2段階の破砕工程を有し、成形は高温で水を加えて行われる。加えられた水は成形工程で蒸発し、プレダスターで回収され再度加水に使用される。また、各工程から発生する粉塵は一度集塵機に集め最終的に成形されるため、プラントから排出されるものは固形燃料のみとなる。
製造される固形燃料の形状は、直径15mm、長さ約25mmのクレヨン状であり、水分率2%で発熱量は約6,000kcal/kgを有する。
繊維屑の他に紙類の混入にも対応可能であり、1時間あたりの製造量は100kgである。尚、成形工程の部品を段取り替えすることによりパウダー(粉末)も製造可能となり、サーマルリサイクルとマテリアルリサイクルの両方に利用展開できるシステムとなっている。
■今後の展開
本システムの開発により、繊維業界から排出される繊維系廃棄物の固形燃料化に幅広く対応することが可能となった。今後は、各企業・事業所からの排出物の種類や量及び事情に応じた最適なシステムを提案し、導入をすすめて行きたい。
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