全文(PDFファイル:96KB、1ページ)


 マーケットイン型のプライベートブランド商品のデザイン開発
  株式会社出口織ネーム  出口 勉 *

■技術開発の背景
 細巾織物製造業は設備からくる織巾寸法(最大100mm)の限界が常に付きまとい,新規のビジネスを生み出すことが困難な業態であった。新分野の製品を作るには生産設備の仕様変更から始めるしかなく,1990年に生産設備を海外から寄せ集める方法により独自設備の構築を始めた。1997年にはコースター・ランチョンマット・タペストリー等の製品を作り,販路開拓に乗り出した。この間に開発及び販売をしてきたそれらの商品は販売額ではさほどの成果を上げられなかった。そこでそれらの開発で得たノウハウを活用して,袋物・エプロン・ベスト・下駄といった身の回り品を商品化した所,数字が伸び出した。今後さらに業績の向上を図るため,卸商品の開発を目指すことにした。

■技術開発の内容
 紋型作成のため海外・国内のソフトウェアの導入をして18年になる。この間に海外・国内の古典織物の織組織解析を蓄積し,いくつかの織物組織を複合化して得た新しい織組織をデータベース化しており,高度な織組織を持つジャガード織物が出来るようになっていた。そこで外部専門家(商品企画,デザイン)を入れたプロジェクトによる市場調査から試作,販路開拓までの商品開発を進める事について工業試験場の指導仰ぎ,それを進めてきた。 

■製品の特徴
 1.カラー写真から布地のデザインのソースを取り出す手法を開発。
   白山の四季をテーマとしている。
 2. 180cmx250cm以上の布地を作っているので,二つとない織り柄の商品が特徴。

■今後の展開
 ITシステムを活用した創作性の高い特殊ジャガード織物を製造する技術力は,マーケットに対して提案力があり,商品ジャンルも様々に考えられ,幅広い応用が期待できる。
  今後の課題として,次の事を進めなければならないと考えている。一つは地元における販売拠点の開設である。従来から築いてきた直販商品を求められるお客様が現社屋に来社されることが多くなったが,生産工場の構えになっている事と,現社員の小売業教育をする事は生産業務と相反する部分もあるので,お客様にとって満足な対応が出来ているとは言えない。またこれから進める卸商品の展開にあたりショールームとしての機能も必要になる。
  もう一つはオンデマンドシステムの構築である。ユーザーニーズへの対応として,オンデマンド製造技術による新しい売り方の開発もあわせて行い,商品力と営業力を高めていきたい。


* トップページ
* 平成17年成果発表会もくじ

概要のページに戻る