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 廃食用油のバイオディーゼルオイルの開発
  株式会社ロン・スタッフ 営業部 多田 真一*
  金沢大学共同研究センター 廣瀬 幸雄

■技術開発の背景
 我が国で廃食用油の年間排出量は40〜50万トンと推定されているが,そのリサイクル率はわずか1%にしか過ぎない。一方,欧米では廃食用油によるバイオディーゼルオイル(代替軽油)の開発が進んでいることに弊社が着目し,環境・リサイクル事業としてこのバイオディーゼルオイルの開発を金沢大学共同研究センター(センター長 廣瀬幸雄教授)との共同研究で行い,改質した燃料油の評価については石川県工業試験場に依頼した。バイオディーゼルオイルの油化装置は,潟Iノモリと共同で一号機を平成13年10月に試作した。

■技術開発の内容
 廃食用油とメタノールによる燃料化プラントは,反応層,中和層,洗浄槽の3つのタンクで構成されており,それぞれのタンクに落差をつけ自然に次工程に移動できるように設計した。そしてエステル化した油を水洗浄した際に油中に分散する微量の水分を除去する方法を考案し装置に組み込んでいる。
 廃食用油による脂肪酸メチルエステル化の反応工程(第一工程)として,苛性ソーダを触媒に用いてメチルアルコールと反応させることによって,脂肪酸メチルエステルとグリセリンになる。第二工程は希塩酸による中和工程及び第三工程は洗浄工程を経た後,脱水化させてバイオディーゼルが得られる。
 明電舎はこのバイオディーゼルを燃料としたマイクロガスタービンのコジェネレーション(熱電供給)システムの実用化を目指し,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の補助を受けて,公立松任中央病院に設置し,現在実証化試験を行っている。

■製品及び装置の特徴
 ・バイオディーゼルオイルは鉱物油と異なり,生分解性のリサイクル燃料に属し,硫黄酸化物(SOx)が全く含まれていないこと。地球温暖化物質である二酸化炭素(CO2)は排出されるが,植物が育つ段階で還元されるためプラスマイナスゼロである。
 ・バイオディーゼルオイルの特性をJIS試験法に基づいて引火点,動粘度,流動点,硫黄分を評価したが,すべて規格をクリアしている。
 ・装置の製油能力は400L/8hで,製造コストは20円/Lである。
 ・本装置は小型であり、4トン車で搬送できる。

■今後の展開
 販売面では大手商社とのタイアップによる営業展開を昨年末より開始しており,ここ2〜3年の間にはバイオィーゼルがより身近になるように努力していきます。開発面では,これまでのエステル化技術を踏まえ,より安定性の高い燃料を製造するため化学反応以外の製造方法も模索している。


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